単位の書き方チェック
貼った文章はこの画面の中だけで見ています。どこにも送りません。 使っているのは、下の早見表に書いてある表と、文字の並びを探す仕掛けだけです。 一度に見るのは 先頭 200,000 字までで、 それを超えたぶんは「見ていません」と必ず書きます。
まだ何も貼られていません。
実験のレポートや自由研究の文章を、そのまま貼ってみてください。単位の記号の書き方だけを見ます。
この道具が、わざと見ていないもの
指摘の数を増やすより、正しい書き方を誤りだと言わないほうを取りました。 そのために外したものが4つあります。黙って見落とすのと、断って見ないのは別のことなので、 ここに書いておきます。
- 元素記号118個。たとえば「5 Cm」をセンチメートルのつもりで書いていても、この道具は何も言いません。 Cm はキュリウムという元素の記号でもあるからです。 元素記号のほうは元素の周期表にあります。
- SI以外の実在する単位。ft・in・lb・pt・pc・gal・cal・psi など24語は、 「SIの記号に直せ」と言わないように外してあります。外す前は、水の量のgal(ガロン)を Gal(ガル・加速度の単位)に直せ、濃度のppm を ym(ヨクトメートル)に直せといった指摘が出ていました(ppm は「ピコ・ピコ・メートル」と読めてしまいます)。よその単位や英語の単語を、SIの記号に書き換えさせるところでした。
- 数字と結びついていない字。「Km で」のように数字から離れた形は、 大文字+小文字のちょうど2文字だけを見ます。NG・CD・PM のような全部大文字の言葉は 見ません。
- 数字にくっついた1文字の F と K、それに 3G〜6G。「1F」(階)「4K」(映像)「5G」(通信)を単位として拾っていたので、 理由をつけて見ないことにしました。
ここに書いた4つは、見落としではなく、外した判断です。 外した理由は全部「正しく書いてある人を赤くしないため」で、 そのぶん取りこぼしが出ます。指摘が0件でも「単位の書き方が完璧です」という意味には なりません。
早見表A ── 頭が大文字になるのは、人の名前から来た単位
基本単位が7個、名前のついた組立単位が22個。あわせて29個 のうち、頭が大文字になるものだけを大文字で書きます。 覚えるのではなく、この表を1枚見れば決まります。
| 記号 | 日本語の名前 | 何の量か | 種類 | 頭が大文字になるか |
|---|---|---|---|---|
| s | 秒 | 時間 | 基本単位 | — |
| m | メートル | 長さ | 基本単位 | — |
| kg | キログラム | 質量 | 基本単位 | — |
| A | アンペア | 電流 | 基本単位 | 人の名前から |
| K | ケルビン | 熱力学温度 | 基本単位 | 人の名前から |
| mol | モル | 物質量 | 基本単位 | — |
| cd | カンデラ | 光度 | 基本単位 | — |
| rad | ラジアン | 平面角 | 名前つき | — |
| sr | ステラジアン | 立体角 | 名前つき | — |
| Hz | ヘルツ | 周波数 | 名前つき | 人の名前から |
| N | ニュートン | 力 | 名前つき | 人の名前から |
| Pa | パスカル | 圧力・応力 | 名前つき | 人の名前から |
| J | ジュール | エネルギー・仕事・熱量 | 名前つき | 人の名前から |
| W | ワット | 仕事率・放射束 | 名前つき | 人の名前から |
| C | クーロン | 電荷 | 名前つき | 人の名前から |
| V | ボルト | 電位差(電圧) | 名前つき | 人の名前から |
| F | ファラド | 静電容量 | 名前つき | 人の名前から |
| Ω | オーム | 電気抵抗 | 名前つき | 人の名前から |
| S | ジーメンス | コンダクタンス | 名前つき | 人の名前から |
| Wb | ウェーバ | 磁束 | 名前つき | 人の名前から |
| T | テスラ | 磁束密度 | 名前つき | 人の名前から |
| H | ヘンリー | インダクタンス | 名前つき | 人の名前から |
| °C | セルシウス度 | セルシウス温度 | 名前つき | 人の名前から |
| lm | ルーメン | 光束 | 名前つき | — |
| lx | ルクス | 照度 | 名前つき | — |
| Bq | ベクレル | 放射能 | 名前つき | 人の名前から |
| Gy | グレイ | 吸収線量 | 名前つき | 人の名前から |
| Sv | シーベルト | 線量当量 | 名前つき | 人の名前から |
| kat | カタール | 触媒活性 | 名前つき | — |
名前のついた組立単位22個のうち、人の名前から来ているのは17個。 人の名前ではない5個 ── rad・sr・lm・lx・kat ── は全部小文字です。17 + 5 で22個ぴったりになります。基本単位7個のうち大文字は2個 (A と K)だけです。
この表に「誰の名前か」は書いていません。開けた一次資料 ── SI文書第9版の全文、BIPM の決議、NIST の2本、産総研NMIJ、 日本の法令3本 ── のどこにも書かれていなかったからです (SI文書の全文で in honour も named after も0件でした)。 それでも「人の名前から」と言えるのは、SI文書 5.2 の規則そのものが根拠になるためです ──「固有名詞に由来する場合を除いて小文字で印刷し、由来する場合は最初の文字を 大文字にする」。つまり表に印刷されている大文字・小文字が、そのまま答えです。 人名を書くには別の出典が要るので、確かめられるまで書きません。
早見表B ── 書き方の規則 26本
この道具が見ているのは、次の26本だけです。 明らかな誤りが12本、SIに合わせるなら直すものが7本、 直さなくてよいものが7本。 上の指摘から「早見表でこの規則を見る」を押すと、 その行に飛びます。
| 規則 | 段階 | ○の例 | ×の例 | なぜ | 出どころ |
|---|---|---|---|---|---|
| 接頭語の大文字・小文字 | 誤り | km・kg・mm・cm | Km・KG・MM・CM | キロ・ミリ・センチは人の名前ではないので小文字で書きます。SI文書 5.2 は「固有名詞に由来する場合を除いて小文字で印刷する」と決めています。Mm(メガメートル)や Mg(メガグラム)は正しい記号なので、この道具はそのまま通します。 | 5.2(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 人の名前から来た単位の頭は大文字 | 誤り | 100 W・50 Pa・3 Hz・5 V | 100w・50pa・3hz・5v | 人の名前から作られた単位だけ、記号の頭が大文字になります(SI文書 5.2)。だから同じ規則から、キロは小文字 k、ワットは大文字 W が出てきます。 | 5.2(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 区切りの無い組立単位原典が名指ししているのではなく、同じ理由でこの道具が足したものです | そのままでよい | 20 N·m・3 N·s・5 Pa·s | 20 Nm・3 Ns・5 Pas | Nm は「ニュートンメートル(N·m。トルク)」とも「ナノメートル(nm の大文字づかいの誤り)」とも読めます。SI文書 5.4.4 は掛け合わせた単位を「中黒か半角空白で区切る」と決めていますが、区切りが無いときにどちらのつもりだったかは、この道具には決められません。だから直し方を出さずに、両方の読み方を並べます。⭐ これは原典が名指しした誤りではなく、この道具が足した言い方です。 | 5.4.4(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 記号を複数形にしない | 誤り | 3 cm・5 kg・10 mm | 3cms・5kgs・10mms | 単位記号は略語ではなく数学の記号なので、英語の文法が効きません(SI文書 5.2「one must neither use the plural」)。NIST の校閲チェックリスト #3 も「l = 75 cms」を不適切の例に挙げています。ms(ミリ秒)や Gs(ギガ秒)の s は秒の記号なので、そのまま通します。 | 5.2(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 記号のうしろに点を打たない | 誤り | 5 cm の棒 | 5 cm. の棒 | 単位記号は略語ではないので、ピリオドを付けません。文の終わりだけは例外です(SI文書 5.2 / NIST #4)。この道具も、文末・行末ではそのまま通します。 | 5.2(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 勝手な省略形を使わない | 誤り | 5 s・500 cm³・344 m/s・5 mm² | 5 sec・500 cc・344 mps・5 sq. mm | SI文書 5.2 が sec・sq. mm・cc・mps の4つを名指しして「使ってはいけない」と書いています。NIST の校閲チェックリスト #2 も sec・cc・mps の3つを挙げています。 | 5.2(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 同じ理由で、こちらが足した省略形原典が名指ししているのではなく、同じ理由でこの道具が足したものです | 誤り | 3 h・5 g・2 A | 3 hr・5 gr・2 amp | hr・gr・amp は原典が名指ししたものではなく、「単位記号は略語ではない」という同じ理由から、この道具が足したものです。原典が挙げているのは sec・sq. mm・cc・mps の4つだけです。 | 5.2(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| スラッシュは1つの式に1回まで | 誤り | m/(s·s)・m·s⁻²・W/(m·K) | m/s/s・J/kg/K | SI文書 5.4.6 が「(a/b)/c であって a/b/c ではない」と書いています。5.2 にも「括弧なしにスラッシュを2回以上使ってはならない」とあり、NIST #5 も m/s/s を不適切の例に挙げています。 | 5.4.6(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| ° と C を離さない | 誤り | 30.2 °C | 30.2° C | SI文書 5.4.3 が、正しいのは t = 30.2 °C のほうで、t = 30.2°C も t = 30.2° C も違う、と2つの書き方を名指しで否定しています。° と C は離してはいけない一組で、その一組の前に空白を置きます。 | 5.4.3(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 1より小さい数には 0 を書く | 誤り | 0.5 kg | .5 kg | SI文書 5.4.4 が「−0.234 であって −.234 ではない」と書いています。小数点の前に必ず 0 を置きます。 | 5.4.4(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 接頭語を重ねない | 誤り | nm・pF・mg | mμm・μμF・μkg | SI文書 5.2 は「接頭語を単独で使わず、接頭語を重ねて使うこともない」と書いています。とくに質量は、キログラムの中に既に k が入っているので、倍量・分量は g に付けます(SI文書 3章「10⁻⁶ kg はマイクロキログラム µkg ではなくミリグラム mg と書く」)。 | 5.2 / 3章(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 名前と記号を混ぜない | 誤り | kg/m³ ・ キログラム毎立方メートル | キログラム/m³ ・ kg/立方メートル | SI文書 5.2 が「1つの式の中で単位記号と単位の名前を混ぜてはならない、名前は数学の実体ではないから」と書いています。NIST #13 も kilogram/m³ や kg/cubic meter を不適切の例に挙げています。 | 5.2(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 1つの式に単位は1つ | 誤り | 10.234 m | 10 m 23.4 cm | SI文書 5.4.3 が「どの式でも、使う単位は1つ」と書き、まさに 10 m 23.4 cm を誤りの例に挙げています。時間と平面角だけは例外なので、1 h 20 min や 30° 22′ はそのまま通します。 | 5.4.3(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 数字と単位のあいだに空白 | SIならこう | 50 kg | 50kg | SI文書 5.4.3 は、数字と単位のあいだの空白そのものを掛け算の記号として扱う、と書いています。ここは「SIならこう」で出します。意味は変わらないうえ、提出先(先生・学校・学会)の書式が別に決まっていることがあるからです。直すかどうかはあなたが決めてください。 | 5.4.3(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| % の前にも空白 | SIならこう | 50 % | 50% | SI文書 5.4.7 が「空白が数字と記号 % を分ける」と書いています。 | 5.4.7(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 範囲は両方に単位を付ける | SIならこう | 1 MHz〜10 MHz | 1〜10MHz | NIST の校閲チェックリスト #12 は「1 MHz to 10 MHz、または (1 to 10) MHz」を適切、「1 MHz-10 MHz や 1 to 10 MHz」を不適切としています。どの数にどの単位が付くかを、読む側が迷わないようにするためです。 | #12(新しいタブで開きます)米国NIST「SI Unit rules and style conventions checklist」全22項目 |
| ±のときは括弧か、両方に単位 | SIならこう | 123 g ± 2 g / (123 ± 2) g | 123 ± 2 g | NIST の校閲チェックリスト #12 が、この2つを適切・不適切として並べています。 | #12(新しいタブで開きます)米国NIST「SI Unit rules and style conventions checklist」全22項目 |
| 掛け算のときは両方に単位 | SIならこう | 35 cm × 48 cm | 35×48cm | NIST の校閲チェックリスト #12 が「35 cm x 48 cm」を適切、「35 x 48 cm」を不適切としています。 | #12(新しいタブで開きます)米国NIST「SI Unit rules and style conventions checklist」全22項目 |
| 全角の空白で離している原典が名指ししているのではなく、同じ理由でこの道具が足したものです | SIならこう | 50 kg(半角の空白) | 50 kg(全角の空白) | SI文書 5.4.3 が求めているのは1字分の空白で、全角でも意味は伝わります。ただし全角の空白は検索や置換で見落としやすいので、半角にそろえておくと安全です。これは原典が名指ししたものではなく、この道具が足した注意です。 | 5.4.3(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 3桁ごとの区切りはカンマではなく空白 | SIならこう | 43 279.168 29 | 43,279.168,29 | SI文書 5.4.4 が、この2つをそのまま並べて書いています。カンマを小数点に使う国があるためです。NIST の校閲チェックリスト #16 は「細い固定幅の空白」を求めていますが、この道具が出す直し方はふつうの空白にしてあります(手で打ち直すためのものなので)。日本語の文章では過剰になるので、この検査は既定でオフです。数字の区切りそのものは /comma でくわしく扱っています。 | 5.4.4(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 角度の ° ′ ″ は、空けないのが正しい | そのままでよい | 30° 22′ 8″ | 30 °(空けるほうが誤り) | SI文書 5.4.3 は、この決まりの例外は平面角の度・分・秒の3つだけだと書いています。数字と単位のあいだを空ける規則の、ただ1つの例外です。同じ ° の字でも、温度の °C は空けます。 | 5.4.3(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| ℃(1文字)と °C(2文字) | そのままでよい | どちらでも意味は同じ | — | 日本の計量単位規則 別表第二は「セルシウス度又は度 ℃」と、1文字の ℃(U+2103)で書いています。BIPM の SI文書は ° と C の2文字です。どちらかが誤りということはありません。この2つは見た目が近いだけの別の文字なので、検索や置換で片方だけ残ることがあります。 | 別表第二(新しいタブで開きます)計量単位規則(平成4年通商産業省令第80号)別表第二 |
| µ と μ が混ざっている | そのままでよい | どちらかにそろえる | — | µ(U+00B5 MICRO SIGN)と μ(U+03BC GREEK SMALL LETTER MU)は、見た目は同じでも別の文字です。UnicodeData.txt は U+00B5 に「<compat> 03BC」と書いていて、互換の関係にあることが分かります。日本の計量単位規則 別表第三 が使っているのは μ(U+03BC)のほうです。 | 00B5 / 03BC(新しいタブで開きます)Unicode Character Database(UnicodeData.txt) |
| SI単位ではないが、SIと併用してよい | そのままでよい | L・min・h・t・ha・eV・au・Da | — | SI文書 表8 が「非SI単位」として並べているものです。SIの一部ではありませんが、SIと一緒に使ってよいと決められています。 | 表8(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| KB・MB・GB のキロは大文字 | そのままでよい | kB(SIのキロ・1000)/KiB(2進・1024) | — | SIのキロは小文字の k です(SI文書 表7)。ところがバイトの世界では大文字の K がよく使われ、しかも 1000 ではなく 1024 を指すことがあります。SI文書 3章は「接頭語は厳密に10のべき乗を指す。2のべき乗を表すのに使ってはならない」と書いています。ここは「そのままでよい」で出します。データの大きさは /data-size でくわしく扱っています。 | 3章 / 表7(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
| 接頭語だけでは単位にならない | そのままでよい | 10 kΩ・10 kg | 10k(単位が無い) | SI文書 5.2 は「接頭語を単独で使うことはない」と書いています。ただし k を「キロ」ではなく K(ケルビン)の書き間違いと読むこともでき、n も N(ニュートン)と読めます。どちらか決められないので、直し方は省いています。 | 5.2(新しいタブで開きます)国際度量衡局(BIPM)SI文書 第9版 V4.01 |
やってみる
1問目 / 全4問
よくある質問
「50kg」と詰めて書いたら間違いですか
SIの規則で言えば、空けるのが正しい書き方です。SI文書第9版 5.4.3 は、数を先に置き、空白を1つはさんでから単位を書く、と決めています(英語の原典は The numerical value always precedes the unit and a space is always used to separate the unit from the number.)。産総研が出している日本語版も、同じことを決めています。ただしこの道具は「50kg」を赤い誤りにはしません。空白の有無で意味が変わるわけではありませんし、提出先(先生・学校・投稿する雑誌)が別の書式を決めていることがあるからです。だから灰色の「SIに合わせるなら」で出します。直すかどうかは、あなたと提出先が決めてください。
なぜリットルだけ、L と l の両方があるのですか
小文字の l が、数字の 1 と見分けにくいからです。第16回国際度量衡総会(1979年)の決議6が、その理由をそのまま書いています ── 文字の l と数字の 1 の混同の危険を避けるため、いくつかの国が L を採用してきたことを考慮し、例外として l と L の2つを採用する、と。小文字の l は1879年に国際度量衡委員会が採用したもので、ちょうど100年後に L が足されました。しかも同じ決議は「将来はどちらか一方だけを残すべきである」と続けています。ところが1990年に委員会が「1つに絞るにはまだ早い」と判断し、いまも両方が生きています。日本の計量単位規則の別表第二も「l又はL」と両方書いています。
「25℃」と「25 °C」は、どちらが正しいのですか
どちらでも意味は同じで、この道具は ℃ もそのまま通します。BIPM のSI文書は ° と C の2文字で「°C」と書きますが、日本の計量単位規則の別表第二は「セルシウス度又は度 ℃」と、℃ という1文字で書いています。日本の法令のほうが1文字なので、℃ を間違いだと教えるわけにはいきません。ただし、数字との間を空けるかどうかは別の話です。SI文書は、正しいのは t = 30.2 °C のほうで、t = 30.2°C も t = 30.2° C も違う、と2つの書き方を名指しで否定しています(英語の原典は t = 30.2 °C but not t = 30.2°C nor t = 30.2° C.)。「25° C」のように ° と C を離すのは、はっきりした誤りです。
なぜ「Km」ではなく「km」なのですか
キロが人の名前ではないからです。SI文書第9版 5.2 は「単位記号は小文字で印刷する。ただし固有名詞に由来する場合は最初の文字を大文字にする」と決めています。この規則は1948年の第9回国際度量衡総会 決議7までさかのぼります。だから A(アンペア)・K(ケルビン)・N(ニュートン)・Pa(パスカル)・W(ワット)・Hz(ヘルツ)は大文字で始まり、m・s・kg・mol・cd・rad・lm・lx・kat は全部小文字です。接頭語も同じで、24個のうち小文字で始まるのはキロ(k)より下だけです。ちなみに「Mm」は誤りではありません ── メガメートル(1000 km)という正しい書き方なので、この道具は指摘しません。
「m/s/s」と書いてはいけないのはなぜですか
読む人が (m/s)/s なのか m/(s/s) なのか決められないからです。SI文書第9版 5.2 は「あいまいさを取り除く括弧なしに、1つの式でスラッシュを2回以上使ってはならない」と書いています。NIST の校閲チェックリストも m/s/s を不適切の例に挙げています。直し方は2つで、括弧を付けて m/(s·s) と書くか、負の指数で m·s⁻² と書くかです。ふつうは加速度なら m/s²、熱伝導率なら W/(m·K) と書きます。
ミリ秒の ms と、メートル×秒の m s は、本当に違うのですか
違います。SI文書第9版 5.4.3 は、単位と単位の間の空白を掛け算の記号だと決めています。だから空白のない ms は「ミリ(m)+秒(s)」で1つの記号になり、空白のある m s は「メートル × 秒」という積になります。NIST の校閲チェックリスト #5 は、この取り違えを実例で挙げています ── 344 m·s⁻¹ は毎秒344メートルだが、344 ms⁻¹ と書くと毎ミリ秒344回になってしまう、と。空白1つで、長さの話が回数の話に化けてしまいます。
貼りつけた文章は、どこかに送られますか
送りません。このページはあなたのブラウザの中だけで動いていて、文章をどこかへ送る仕組みがありません。使っているのは文字の並びを探す仕掛けと、このページに書いてある987通りの記号の表だけです。まだ提出していないレポートでも、自由研究の下書きでも、そのまま貼って大丈夫です。
この道具が「直すところ」と言ったら、必ず直さないといけませんか
いいえ。この道具は指摘するだけです。自由研究やレポートは自分で書くものなので、どこがどう違うのかを見て、自分の手で直してほしいからです。指摘は3つに分けてあります ──「誤り」はSI文書やNISTの資料が名指しで否定している書き方、「SIならこう」は意味は変わらないけれど規則とは違う書き方、「そのままでよい」は正しい書き方や、直す必要のないものです。3つ目には、角度の 30° のように「ここは空けないのが正しい」と伝えるものも入っています。
単位が1つも見つからなかったと言われました。どうしてですか
この道具は「数字のすぐ後ろに来る記号」を探しています。全角の文字(50kg)は半角の 50 kg とは別の文字なので、そのままでは見つかりません。全角が混ざっていたときは、その件数を画面に出すようにしてあります。半角に直してから貼り直してみてください。見つからなかったときに「0件でした」とは書きません ── 見た結果として0件だったのか、そもそも見つけられなかったのかは、まったく別のことだからです。
SI接頭語の一覧表はどこにありますか
このサイトの「関数電卓」のページに、クエタ(10の30乗)からクエクト(10のマイナス30乗)まで24個の表があります。「データ量」のページには、2022年にロナとクエタが追加された理由も書いてあります。このページは接頭語の表そのものではなく、単位の記号を紙に書くときの決まりのほうを扱っているので、同じ表を3枚持たないようにしています。
理科のレポートや自由研究の文章を貼ると、単位の記号の書き方で直すところを指します。 書き換えては返しません ── どこが、なぜ違うのかを、国際度量衡局(BIPM)のSI文書と 日本の計量法の条番号つきで示します。 正しく書けているところは、そのまま「正しい」と言います。
大文字か小文字かは、「人の名前かどうか」で決まります
単位の記号は原則すべて小文字です。ただし人の名前から作られた単位だけ、頭が大文字になります。SI文書第9版 5.2 が「固有名詞に由来する場合を除いて小文字で 印刷する」と決めているからで、この決まりは1948年の第9回国際度量衡総会 決議7 までさかのぼります。
数えてみると、規則がはっきり見えます。基本単位は7個(s・m・kg・A・K・mol・cd) ありますが、大文字は2個だけ。名前のついた組立単位は22個あり、 そのうち17個が人の名前から来ています。 残りの5個 ── rad・sr・lm・lx・kat ── は人の名前ではないので、全部小文字です。 17+5=22 でぴったり合います。
だから「Km」は誤りで「km」が正しい。キロは人の名前ではないからです。 逆に「Mm」は正しい書き方です ── メガメートル、つまり1000 km のことなので、この道具は指摘しません。 大文字か小文字かは、記憶ではなく由来を1回調べれば決まるものです。
数字と単位の間の空白は、飾りではなく掛け算の記号です
「50kg」と「50 kg」の違いは、見た目の好みではありません。SI文書第9版 5.4.3 は、 数値と単位の間の空白そのものを掛け算の記号として扱うと書いています(英語の原典は The space between the number and the unit is regarded as a multiplication sign)。 量の値は〈数〉×〈単位〉の積なので、空白がその掛け算そのものだ、という理屈です。
単位と単位の間の空白も同じ意味を持ちます。だから ms と m s は別物になります。ms は接頭語の m が単位 s にくっついた1つの記号で「ミリ秒」。 m s は空白があるので「メートル × 秒」。 米国NISTの校閲チェックリスト #5 は、この取り違えを実例で挙げています ── 344 m·s⁻¹ は毎秒344メートルだが、344 ms⁻¹ と書くと「毎ミリ秒344回」になってしまう、と。 空白1つで、長さの話が回数の話に化けるわけです。
⭐ 「日本語の文章では詰めて書くものだ」という話をよく聞きますが、その裏づけになる資料は見つけられませんでした。 かわりに、 確かめられたことのほうを書きます。産総研が出しているSI文書の日本語版PDFの本文を、 道具を2つ(pypdf 6.16.1 と pdfplumber 0.11.10)使って取り出し、km・cm・kg・MHz など15種類の記号が数字の直後に来る箇所を数えました。
結果は空白なしが 0件、空白ありが 120件。 2つの道具で同じ数になりました。 ⭐ しかもこれは取り出しの癖ではありません ── 同じ本文には「数字のすぐ後ろに英字」 という並び自体が 243件(もう一方の道具では 248件)あるので、取り出せていないわけではないのです。日本語で書いても空白を空ける、という規則を、 文書自身が守りきっていることになります。
それでもこの道具は「50kg」を赤くしません。意味が変わるわけではありませんし、 提出先の書式が別に決まっていることがあるからです。直すかどうかは、あなたが決めてください。
空白を空けないでよい例外は、角度の ° と ′ と ″ だけです
SI文書第9版 5.4.3 は、この決まりの例外は平面角の度(°)・分(′)・秒(″)の3つだけだと書いています (英語の原典は The only exceptions to this rule are for the unit symbols for degree, minute and second for plane angle)。ほかに例外はありません。 だから 30° は空けないのが正しく、30 ° と空けるほうが間違いです。
ややこしいのは温度です。セルシウス度の記号 °C は同じ ° の字で始まるのに、こちらは空けます。SI文書は t = 30.2 °C が正しく、t = 30.2°C でも t = 30.2° C でもない、と2つの誤りを名指しで否定しています。 ° と C は離してはいけない一組で、その一組の前に空白を置く、という順序です。
この道具は 30° を見つけても赤くしません ── むしろ「そのままでよい」の欄に出して、「ここは空けないのが正しい」と伝えます。正しい書き方を誤りと教えないためで、 ついでに規則を1つ持って帰ってもらうためでもあります。
単位の記号は略語ではないので、点も付けず、複数形にもしません
cm は centimetre の略ではありません。SI文書第9版 5.2 は「単位記号は数学的な実体であり、略語ではない」と書いています。 ここが分かると、3つの決まりが一度に腑に落ちます。
- 文末を除いてピリオドを付けない。「5 cm. の棒」は誤り。 数学の記号に句点を打たないのと同じです。
- 複数形にしない。3cms は誤りで 3 cm。 記号は英語の単語ではないので、英語の文法が効きません。
- 記号と名前を混ぜない。キログラム/m³ も kg/立方メートル も誤り。 名前は数学の実体ではないので、割り算の式に入れられません。
同じ理由で sec・sq. mm・cc・mps のような省略形も使えません。⭐ この4つを名指ししているのはSI文書 5.2 のほうで、NIST の校閲チェックリスト #2 が名指ししているのは sec・cc・mps の3つです。 正しくは s、mm²、cm³、m/s。 なお hr・gr・amp は、同じ理由でこの道具が足したものなので、早見表にもそう書いてあります (出典のないものを、出典ありに見せないため)。
スラッシュは、1つの式に1回までです
m/s/s と書くと、(m/s)/s なのか m/(s/s) なのか読む側には決められません。 SI文書第9版 5.2 は「1つの式の中で、あいまいさを取り除く括弧なしにスラッシュを2回以上使っては ならない」と書き、5.4.6 では (a/b)/c と書くよう求めています。 NIST のチェックリストも m/s/s と m·kg/s³/A を不適切の例に並べています。
直し方は2つ。括弧を付けて m/(s·s) にするか、負の指数で m·s⁻² と書くかです。 理科のレポートでいちばん出るのは加速度(m/s²)と熱伝導率(W/(m·K))で、 どちらも括弧か指数のどちらかが要ります。
⭐ この規則の背景には、記号を「文字の並び」ではなく式として扱うという考え方があります。 式なら、読む順番が一意に決まらない書き方は許されません。 上の「略語ではない」も、この1点から出てきています。
リットルだけ、大文字と小文字の両方が正式に認められています
SI文書第9版 5.2 は、リットルには大文字の L と小文字の l のどちらを使ってもよい、 と書いています。SIの中でこの二重の記号を持つのはリットルだけです。
理由は決議の本文にはっきり書いてあります ──小文字の l が数字の 1 と見分けにくく、混同の危険を避けるため複数の国が L を採用していたから。 小文字の l を国際度量衡委員会が採用したのが1879年で、L が足されたのが1979年の第16回国際度量衡総会 決議6。ちょうど100年後です。
しかも決議は「将来はどちらか一方だけを残すべきである」と続け、委員会に見届けるよう 求めています。ところが1990年、委員会は「1つに絞るにはまだ早い」と判断しました。以来ずっと両方が生きたままです。 日本の計量単位規則の別表第二も、 リットルの記号を「l又はL」と両方書いています。
日本では、単位の記号を法律が決めています
単位の書き方は国際的な取り決めだけの話ではありません。計量法(平成4年法律第51号) の第7条は「計量単位の記号であって、計量単位の記号による表記において標準となるべき ものは、経済産業省令で定める」と書いていて、その省令が計量単位規則(平成4年通商産業省令第80号)です。 別表第二に単位ごとの 記号が、別表第三に接頭語の記号が並んでいます。
さらに第8条は、法定計量単位でない単位を「取引又は証明」に使うことを禁じています。 値段を付けたり証明書を出したりする場面では、単位の選び方に法律の縛りがあるわけです (レポートや自由研究はここに当たりません)。
⭐ 面白いのは、この別表がセルシウス度の記号を ℃ という1文字で書いていることです。BIPMのSI文書は ° と C の2文字で書きます。 日本の法令の書き方とSI文書の書き方が、同じものを違う文字で書いている ── だからこの道具は ℃ を誤りにしません。
⭐ もうひとつ。SIの名前つき組立単位22個のうち、カタール(kat・触媒活性)だけが日本の法令に見当たりません。 計量法・計量単位令・計量単位規則の3本を機械で数えたところ、 「カタール」「触媒活性」「kat」の9通りの数え方すべてで、 合わせて0件でした。
新しい接頭語が Q と R になったのは、字が残っていなかったからです
2022年11月の第27回国際度量衡総会 決議3で、10の27乗のロナ(R)、10の30乗のクエタ(Q)、 10のマイナス27乗のロント(r)、10のマイナス30乗のクエクト(q)が追加されました。 産総研 計量標準総合センターの解説は、これを「1991年以来、31年ぶり」の拡張だと書いています (40年ぶりではありません)。
⭐ 記号に q と r が選ばれた理由が、この節の主題です。同センターは、既に接頭語や単位で使われている文字は使えないうえ、 o は数字のゼロと、x は掛け算の記号と、u はマイクロと、i は虚数や数字の1と 見間違うおそれがあるため最初から候補外だった、と説明しています。 26文字のうち残っていたのが q と r だけだった、ということです。
制定年で数えると、24個の接頭語は1960年に12個・1964年に2個・1975年に2個・1991年に4個・2022年に4個という増え方をしています。単位の書き方の規則の多くは「見間違えないこと」から来ています。 l を L にしたのも、記号にピリオドを打たないのも、根は同じです。 接頭語の一覧そのものは関数電卓のページに置いてあります。
見た目が同じで、別の文字のものがあります
この道具を作るときにいちばん気をつかったのが、見た目がほとんど同じなのに別の文字という組でした。 μ(U+03BC・ ギリシャ文字のミュー)と µ(U+00B5・マイクロ記号)、Ω(U+03A9)と Ω(U+2126)、 ℃(U+2103・1文字)と °C(2文字)、それに全角の kg と半角の kg。
混ざっていても画面では気づけませんが、検索や置換をすると片方だけが残ります。だからこの道具は、μ と µ が混ざっていたら 件数を出します。
ここでやってはいけないことが1つあります。文字をそろえる標準的な やり方(NFKC)を使うと、℃ が黙って °C に潰れます。 Unicode の文字データベースに ℃ の互換分解が ° と C だと書かれているためです。 そうすると 「℃ と °C はどちらでもよい」という説明そのものが画面から消えてしまうので、 この道具は全角→半角と μ・Ω の統一だけを、1か所でやっています。 文字そのものの話は文字数カウントと文字化け復元のページが扱っています。
出どころ: SI文書 第9版(BIPM・英語の原典)(新しいタブで開きます)はCC BY 4.0(PDFの冒頭の Copyright statement で確かめました)なので、値も規則もここから引いています。 規則の出発点である第9回国際度量衡総会 決議7(1948年)、リットルの 第16回総会 決議6(1979年)(新しいタブで開きます)、 新しい接頭語の第27回総会 決議3(2022年)も、それぞれ本文を読みました。 校閲の観点は 米国NIST「SI Unit rules and style conventions checklist」全22項目(新しいタブで開きます)、日本側は 計量単位規則(新しいタブで開きます)・計量単位令・計量法のXMLを取得して読みました。接頭語の制定年は 産総研NMIJ(新しいタブで開きます)です。 確かめられなかったこと ──【1】どの単位が「誰の」名前から来たのかは、開けた資料のどこにも書かれていませんでした(SI文書の全文で in honour・named after が0件)。だから人名は1つも書いていません。【2】産総研のSIパンフレット(SIdata.pdf) は開けたのに読めませんでした ── HTTP 200 で 4,858,323バイト・8ページ 取得できたのに、本文が画像で文字の層が無く、抽出できたのは0字。中身を確認できないので 根拠に使っていません。【3】産総研によるSI文書の日本語訳は「営利目的でなければ許諾不要」という条件付きなので、広告を載せているこのサイトでは訳文の言い回しを1つも使っていません ── 引いているのはCC BY 4.0 の英語の原典と、日本語版から数えた数だけです。日本語の文はこちらで書き起こしています。
接頭語の一覧は関数電卓、1000と1024の話はデータ量、元素記号は元素の周期表、 全角と半角の直しは全角・半角にあります。 このページは単位を換算しません ── 数を直したいときは単位の換算のほうへどうぞ。