手品のタネ
練習が要らない手品だけを、タネごと置いています。
21枚のカードで選んだ札を当てる手品は、山を3回配り直すあいだに候補が毎回3分の1ずつ絞られていく、というだけの仕組みです。指先の技術はどこにも要らないので、上手い下手が出ません。言い換えると、仕組みから外れた瞬間に当たらなくなります。
数のしくみは、頑丈そうに見えて、条件が1つ変わるとまるごと変わります。52枚のトランプをきっちり半分に分けて1枚ずつ交互に組むのをくり返すと、8回で元の並びに戻ります。ところがジョーカーを2枚足して54枚にすると、戻るまで52回かかります。2枚増えただけで6.5倍です。トランプが52枚なのはたまたまですが、この手品にとっては都合のよい枚数でした。
その「条件が変わると当たらなくなる」ところまで置いてあるのが、このジャンルの持ち帰りです。21枚を24枚に変えると当たりません。消した数字を言い当てる手品は、0を消されるとお手上げです。どこまで通じるのかが分かっていれば、見せたあとに自分の言葉で説明できます。
この分野の道具(5本)
1089 が出てくる理由
3けたの数を選び、けたを逆に並べた数との差を取り、その差をまた逆に並べて足すと 1089 になります。偶然ではありません。まん中のけたが引き算で消えるので、差は必ず 99 の倍数になり、候補は 099・198・297 …… 891 の9通りしかありません。そのどれを取っても、逆順と足せば 1089 です。
通じない場合もはっきりしています。百のけたと一のけたが同じだと差が0になり、そこで止まります。差が2けたになったときは、先頭に0を補って3けたとみなす約束が要ります。手品の口上が「百のけたと一のけたは違う数にしてください」と言うのは、この条件をそれと言わずに伝えているわけです。
当てているのではなく、聞き出している
誕生日当てカードは、書かれた数を 1・2・4・8・16 に対応させておき、「載っている」と言われたカードの数を足すだけの仕組みです。相手はカードを指すたびに2進数の1けたずつを答えていて、答えを言っていないつもりで、全部言っています。
消したけたを当てる手品も同じ形で、9で割った余りを使っています。各けたを足した値は、元の数と9で割った余りが同じになるので、残ったけたの和から逆に求められます。ただし0と9の区別だけはつきません。タネが分かると、当てているのではなく計算しているのだ、と見えてきます。