調べて分かる道具箱

1089 の不思議

例

524

524 − 425 = 099

099 + 990 = 1089

見本

どうひっくり返すか3けたでは、どちらも同じことです

1. はじめの数
524
2. ひっくり返した数
425
3. 大きいほうから小さいほうを引く
0993けたに足りないので、先頭に0を足しました
4. 差をひっくり返す
990
5. 3と4を足す
099 + 990

10893けたの数はどれでも1089になります

よくある質問

どうやるのですか?

3けたの数を1つ決めてもらいます(例: 524)。その数をひっくり返した数(425)との差をとり、その差をまたひっくり返して足す ── それだけです。答えは1089になります。相手の数を聞かなくても答えが分かるので、先に紙に1089と書いて伏せておけます。

なぜいつも1089になるのですか?

まん中のけたが引き算で消えるからです。3けたの数は「100×a + 10×b + c」と書けます。ひっくり返した数は「100×c + 10×b + a」なので、引くと 10×b どうしが消えて、差は 99×(a − c) になります。つまり差は9通りしかありません(99・198・297・396・495・594・693・792・891)。この9つはどれも、ひっくり返して足すと1089になります。始めの数がどれであっても、通り道はこの9本のどれかです。

「最初と最後の数字の差が2以上」と書いてあるページがありますが?

その条件は要りません。差が1のとき、引き算の答えは99になります。これを3けたの数として「099」と書けば、ひっくり返して990、足して1089です。条件を付けている解説は、先頭に0を足す一手を飛ばしているだけです。この一手が要る数は810通りのうち170通り(およそ21%)あるので、まれな例外ではありません。

できない数はありますか?

はじめの数字と終わりの数字が同じ数だけができません(90通り)。ひっくり返しても同じ数なので、差が0になってしまいます。それ以外の810通りは全部できます ── このページはその810通りを実際に全部計算して確かめています。

4けたの数でもできますか?

ひっくり返し方によります。全部ひっくり返す(1234 → 4321)と、4けたでは答えが4通りに散らばって1つに決まりません。ところがいちばん上といちばん下だけ入れ替える(1234 → 4231)なら、4けたでも1つに決まって10989になります。5けたなら109989です。上のボタンで切り替えて確かめられます。

手品として、どう見せればいいですか?

先に紙へ1089と書いて、伏せて置いておきます。相手には「3けたの数を思いうかべて、ひっくり返した数との差をとって、その差をひっくり返して足してください」と伝えるだけです。相手の数は一度も聞きません。それでも当たるところが見せ場です。差が99になったときに「099」と3けたで書いてもらう必要があるので、そこだけ「けたが足りなければ0を書いてね」と先に言っておくと止まりません。

3けたの数をひっくり返して引く。その差をひっくり返して足す。 これだけで、どの数から始めても答えは1089になります。 相手の数を聞かなくても、答えは先に分かっています。

まん中のけたは、引き算で消えます

3けたの数は「100×a + 10×b + c」と書けます。 ひっくり返した数は「100×c + 10×b + a」。 引き算すると、10×b どうしが打ち消し合って消えます。

(100a + 10b + c) − (100c + 10b + a) = 99 × (a − c)

つまりまん中の数字は答えに関係ありません。 効くのは、はじめの数字と終わりの数字の差だけです。

差は9通りしかありません

a − c は1から9までなので、差になりうる数は9通りだけです。

99 198 297 396 495 594 693 792 891

この9つを見ると、まん中はどれも9で、両はしを足すと9になっています(0+9・1+8・2+7…)。 だからひっくり返して足すと、百の位が9、十の位が9+9=18、一の位が9 ── 繰り上がって1089です。

1089は99 × 11でもあります。 99 は「ひっくり返して引く」で出てくる数、 11 は「その差をもう一度ひっくり返して足す」ぶんです。

⭐「最初と最後の差が2以上」という条件は要りません

この手品を紹介しているページは、たいてい「最初と最後の数字の差が2以上になるように」と条件を付けています。その条件は要りません。

差が1のとき、引き算の答えは99になります。 ここで手が止まるのは、99 が2けたに見えるからです。 3けたの数として「099」と書けば、ひっくり返して 990、足して1089 ── そのまま続きます。

213 → 312 − 213 = 099(先頭に0を足す)
099 + 990 = 1089

この一手が要る数は、できる810通りのうち170通り(およそ21%)あります。まれな例外ではありません。条件を付けて避けているページは、5本に1本以上の数を捨てていることになります。

できないのははじめと終わりの数字が同じ90通りだけです。 ひっくり返しても同じ数なので、差が0になります。 残りの810通りは全部できます ── このページはその810通りを実際に計算して確かめています。

⭐ けた数を増やすと、ひっくり返し方で結果が分かれます

「では4けたでは?」と思ったとき、ひっくり返し方が2通りあることに気づきます。

  • 全部ひっくり返す(1234 → 4321)
  • いちばん上といちばん下だけ入れ替える(1234 → 4231)

3けたでは、この2つは同じ操作です。だから3けたの話をしているうちは、 どちらのつもりでいたかを考えなくてすみます。4けたで初めて分かれます。

けた数とひっくり返し方ごとの答え
けた数全部ひっくり返す端だけ入れ替える
2けた9999
3けたこの手品10891089
4けた1つに決まりません(4通りに散らばる)10989
5けた1つに決まりません(4通りに散らばる)109989

端だけ入れ替えるほうは、けた数がいくつでも1つに決まります。まん中のけたが全部そのまま残って、引き算で消えるからです。 3けたのときに「まん中の b が消える」と言ったのと、まったく同じことが起きています。

全部ひっくり返すほうは、4けた以上でばらけます。まん中の2けたも入れ替わってしまうので、そこも引き算に効いてくるためです。 「1089 の4けた版」を探して全部ひっくり返してみると、答えが揃わなくて戸惑うのは、これが理由です。

1089 そのものが、変わった数です

1089をひっくり返すと9801で、これは1089のちょうど9倍です。

4けたの数のうち、ひっくり返すともとの数の整数倍になるものは、 全部で2つしかありません。

ひっくり返すと整数倍になる4けたの数
数何倍ひっくり返した数
10899倍9801
21784倍8712

⭐ 1089は33 × 33でもあります。 同じ数どうしをかけた形(平方数)で、 しかもひっくり返した 9801 も 99 × 99 です。

出どころ

この題材は、日本語では清和隼弥・登野皓志「教材『1089の不思議』に関する一考察」(学芸大数学教育研究 第36号・2024年・31〜43ページ)(新しいタブで開きます)にくわしく調べられています。この論文は条件を「百の位が一の位よりも大きい」としているだけで、 「差が2以上」とは言っていません。けた数を増やしたときに端だけ入れ替えると、答えが「9 がならんだ数 × 11」(3けたなら 99 × 11 = 1089、4けたなら 999 × 11 = 10989、5けたなら 9999 × 11 = 109989)になる ことも、この論文にあります。

2つしかない、というのも同じ論文の記述です。写さずに、4けたの9000通りを実際に調べて確かめました。

1089を題名にした一般向けの本もあります ──David Acheson「1089 and All That: A Journey into Mathematics」(Oxford University Press・2002年)(新しいタブで開きます)。上の論文もこの本を引いています。

このページの数は、式からだけでは出していません。3けたの900通り・4けたの9000通り・5けたの9万通りを実際に計算して、 答えが何通りに散らばるかを数えた結果です。