調べて分かる道具箱

単位の換算(かんさん)

同じ長さや重さを、別の名前で言い直すのが換算です。掛ける数をどこから持ってきたかで、答えの確かさが決まります。

換算はたいてい掛け算1回で終わります。ところが掛ける数には2種類あって、測って求めた値と、人が話し合ってそう決めた値があります。1ポンドを 0.45359237 キログラムとするのは後者で、1959年の国際ヤード・ポンド協定で決められた厳密な値です。四捨五入した近似ではないので、桁を増やしても誤差が入りません。このジャンルの道具は、こういう定義値だけを使うようにしてあります。121坪がちょうど400平方メートルになる、といった検算が通るのはそのためです。

掛け算だけでは足りない換算もあります。温度は原点がずれているので、係数を掛けるだけでは華氏から摂氏に直せません。同じ名前なのに大きさが違うものもあります ── 畳は京間と団地間で1枚の面積が違い、カップは日本の200mLとアメリカの約237mLが別物です。だからこのジャンルの道具は、答えを1つ出して終わりにせず、どの決まりで計算したのかを画面に書きます。

この分野の道具(23本)

単位のもとが、ものから定数に変わった

1メートルは、かつてパリに保管された金属の棒(国際メートル原器)の長さでした。いまは違います。1983年に「光が真空中を 299792458 分の1秒に進む距離」と決め直され、もとになる「もの」が無くなりました。棒はどれだけ大事に保管しても、傷や温度でわずかに動きます。定数なら動きません。

最後まで「もの」だったのがキログラムです。2019年5月20日に、白金イリジウム製の国際キログラム原器による定義をやめ、プランク定数を 6.62607015×10⁻³⁴ J s と決め打ちするやり方へ変わりました。これで基本となる7つの単位が全部、定数から決まるようになりました。換算に使う掛ける数が「厳密な値」でありうるのは、こういう決め方が土台にあるからです。

丸めた瞬間に、答えではなくなる数がある

換算に使う数には、測って決めたものと、そう決めたと定めたものがあります。1インチは25.4ミリちょうど、1海里は1852メートルちょうど。近い値ではなく定義なので、端数まで正しい答えが出せますし、逆向きに計算しても元にぴたりと戻ります。

ところが、出てきた数を見やすく丸めると、その正しさが消えることがあります。1メートルをキロに直して小数第2位で丸めると 0 になります。0 は「量が無い」と読めてしまうので、これは丸めた結果ではなく間違いです。小さい値は、小数の位ではなく有効な桁のほうで丸めます。

早見表でも同じことが起きます。10フィートは3.048メートル、1ノットは時速1.852キロ。ここを小数第2位で丸めると 3.05 と 1.85 になり、定義そのものの数字が画面から消えてしまいます。

取引に使ってよい単位は、法律のほうで決まっている

坪や畳は日常でよく使いますが、計量法は取引や証明にはメートル法の単位を使うよう定めています。不動産の広告で「○坪」の横に平方メートルが並ぶのは、この決まりのためです。坪と平米と畳を同時に出しているのも、片方だけでは足りない場面があるからです。

畳はさらに厄介で、京間・中京間・江戸間・団地間で1枚の大きさが違います。ただし不動産の広告については、不動産の表示に関する公正競争規約が1畳あたり1.62平方メートル以上という意味で使うよう定めています。「6畳」と書いてあるとき、それが部屋の実測なのか広告の言い方なのかで、指しているものが変わります。

大きさが同じでも、後ろの計算が違う単位がある

日常で「重さ」と呼んでいるキログラムは質量で、ニュートンは力です。同じ物を月へ持っていくと、質量はそのままで、重力による力は6分の1ほどになります。体重計に kg と出るのは、力を測って質量に直しているからで、測っているものと表示している単位は別です。

音の大きさのデシベルは、そもそも足し算のできない単位です。比の対数なので、60デシベルの音源が2つになっても120デシベルにはならず、およそ63デシベルにしかなりません。単位の後ろにどんな計算が置かれているかで、そろえ方も足し方も変わります。

こういうときは、これ

部屋の広さを知りたい
坪・平米・畳坪・平方メートル・畳を同時に出します
海外のプロフィールを読みたい
フィート・メートル5フィート9インチのような書き方も直します
海外のレシピで作りたい
料理の分量大さじ・カップ・合。カップの量は国で違います
船や飛行機の速さを知りたい
ノット・海里1海里が半端な1852mになった理由まで
昔の小説に出てくる長さを知りたい
尺・間・町・里分・寸・尺・間・町・里を一度に