単位の換算
同じ長さや重さを、別の名前で言い直すのが換算です。掛ける数をどこから持ってきたかで、答えの確かさが決まります。
換算はたいてい掛け算1回で終わります。ところが掛ける数には2種類あって、測って求めた値と、人が話し合ってそう決めた値があります。1ポンドを 0.45359237 キログラムとするのは後者で、1959年の国際ヤード・ポンド協定で決められた厳密な値です。四捨五入した近似ではないので、桁を増やしても誤差が入りません。このジャンルの道具は、こういう定義値だけを使うようにしてあります。121坪がちょうど400平方メートルになる、といった検算が通るのはそのためです。
掛け算だけでは足りない換算もあります。温度は原点がずれているので、係数を掛けるだけでは華氏から摂氏に直せません。同じ名前なのに大きさが違うものもあります ── 畳は京間と団地間で1枚の面積が違い、カップは日本の200mLとアメリカの約237mLが別物です。だからこのジャンルの道具は、答えを1つ出して終わりにせず、どの決まりで計算したのかを画面に書きます。
この分野の道具(23本)
- 単位の書き方貼った文章から Km・3cms・25° C のような書き方を指します。50kg のスペースは誤りと決めつけず、SI文書の規則を並べて選べるようにします
- かさ・体積デシリットルもヘクトリットルも。合・升・斗・石と、米英で量が違うガロンまで出します
- 坪・平米・畳畳は地域で大きさが違うので、京間から団地間まで全種類の枚数を出します
- ポンド・キロ1ポンド = 0.45359237 kg。金の取引で使うトロイオンスも同時に出します
- 華氏・摂氏温度は原点がずれているので、係数を掛けるだけでは変換できません
- フィート・メートル1フィート = 0.3048 m。5'9" のような言い方にも直します
- インチ・センチ1インチ = 25.4 mm。テレビの「◯型」が対角線であることも説明します
- kW・馬力馬力は3種類あります。仏馬力・英馬力・電気馬力を区別して出します
- 用紙サイズA4・B5をミリとピクセルで。B列は日本と海外で6mm違います
- ノット・海里1852mが地球の緯度から決まった話と、潮流を入れた航程の計算までできます
- 尺・間・町・里1里は約3.9km。歩けば1時間弱の道のりです。分・寸・尺・間・町・里を一度に出します
- 速さkm/hとm/sとノットを同時に。1kmを何分で走るかのペースも出します
- 料理の分量大さじ・カップ・合。カップは日本200mLで、アメリカの約237mLとは違います
- 紙の連量・坪量「四六判110kg」のkgは1枚の重さではなく、1000枚ぶんの重さです
- 靴のサイズJISは足の長さと足囲の2つで決まります。海外サイズへの換算表が無い理由も説明します
- 音の大きさ60dBと60dBを足しても120dBになりません。63dBです。理由と環境基準まで説明します
- 画面ものさし1円玉を画面に置いて丸を合わせると、その画面の実寸の定規になります。カードは要りません
- エアコンの畳数「めやす◯〜◯畳」は日本電機工業会の JEM-1447 に基づく値で、「おもに◯畳」には規格がありません
- 職場の照度基準事務所か一般の作業場かを選ぶと、法令が定める最低の照度と根拠の条文が出ます。事務所は2区分、工場や倉庫は3区分で、区分の切り方そのものが違います
- 灯油・ガソリンの指定数量灯油やガソリンを置くと指定数量の何倍になるか、混ぜたときの足し算まで条文つきで出します
- モバイルバッテリーのWh定格容量と定格電圧から Wh を出して、100Wh・160Wh の線のどちら側かと、何個まで持てるかを見ます
- 乾電池のサイズLR6・AA・C・単3などの名前から、単何形かと、規格が決めている最大の高さと直径を出します。LR6のLのような電池の種類の記号も読みます
- アンペア・ワット分電盤の主幹と、部屋ごとの分岐ブレーカーのどちらが先に落ちるか。使う家電のワット数を足して出します
単位のもとが、ものから定数に変わった
1メートルは、かつてパリに保管された金属の棒(国際メートル原器)の長さでした。いまは違います。1983年に「光が真空中を 299792458 分の1秒に進む距離」と決め直され、もとになる「もの」が無くなりました。棒はどれだけ大事に保管しても、傷や温度でわずかに動きます。定数なら動きません。
最後まで「もの」だったのがキログラムです。2019年5月20日に、白金イリジウム製の国際キログラム原器による定義をやめ、プランク定数を 6.62607015×10⁻³⁴ J s と決め打ちするやり方へ変わりました。これで基本となる7つの単位が全部、定数から決まるようになりました。換算に使う掛ける数が「厳密な値」でありうるのは、こういう決め方が土台にあるからです。
丸めた瞬間に、答えではなくなる数がある
換算に使う数には、測って決めたものと、そう決めたと定めたものがあります。1インチは25.4ミリちょうど、1海里は1852メートルちょうど。近い値ではなく定義なので、端数まで正しい答えが出せますし、逆向きに計算しても元にぴたりと戻ります。
ところが、出てきた数を見やすく丸めると、その正しさが消えることがあります。1メートルをキロに直して小数第2位で丸めると 0 になります。0 は「量が無い」と読めてしまうので、これは丸めた結果ではなく間違いです。小さい値は、小数の位ではなく有効な桁のほうで丸めます。
早見表でも同じことが起きます。10フィートは3.048メートル、1ノットは時速1.852キロ。ここを小数第2位で丸めると 3.05 と 1.85 になり、定義そのものの数字が画面から消えてしまいます。
取引に使ってよい単位は、法律のほうで決まっている
坪や畳は日常でよく使いますが、計量法は取引や証明にはメートル法の単位を使うよう定めています。不動産の広告で「○坪」の横に平方メートルが並ぶのは、この決まりのためです。坪と平米と畳を同時に出しているのも、片方だけでは足りない場面があるからです。
畳はさらに厄介で、京間・中京間・江戸間・団地間で1枚の大きさが違います。ただし不動産の広告については、不動産の表示に関する公正競争規約が1畳あたり1.62平方メートル以上という意味で使うよう定めています。「6畳」と書いてあるとき、それが部屋の実測なのか広告の言い方なのかで、指しているものが変わります。
大きさが同じでも、後ろの計算が違う単位がある
日常で「重さ」と呼んでいるキログラムは質量で、ニュートンは力です。同じ物を月へ持っていくと、質量はそのままで、重力による力は6分の1ほどになります。体重計に kg と出るのは、力を測って質量に直しているからで、測っているものと表示している単位は別です。
音の大きさのデシベルは、そもそも足し算のできない単位です。比の対数なので、60デシベルの音源が2つになっても120デシベルにはならず、およそ63デシベルにしかなりません。単位の後ろにどんな計算が置かれているかで、そろえ方も足し方も変わります。