デシベルの足し算(騒音レベルの合成)
同時に鳴っている音
合わせた音の大きさ(デシベル)
そのときの音圧(パスカル)
いちばん大きい音は 60.00 デシベル。ほかを全部足しても、そこから 3.01 デシベル増えるだけです。
| 音 | 大きさデシベル | 止めたら下がる量デシベル |
|---|---|---|
| 1つめデシベル入力 | 60.00 | 3.01 |
| 2つめデシベル入力 | 60.00 | 3.01 |
この足し方は2つの音が無相関のときのものです。ふつうの音源どうしは 無相関なので、同じ大きさの音が2つで+3デシベルほど。 ただし波の山と谷がぴたりとそろうと音圧がそのまま足し算になり、 この組み合わせなら最大 66.02 デシベルまで上がります。逆にちょうど逆向きなら打ち消し合って小さくなります。
環境基準に収まっているか
環境基本法第16条第1項に基づく騒音に係る環境基準と見くらべます。 基準値は地域の類型と時間の区分で変わり、 どの類型を当てはめるかは都道府県知事が指定します。
基準値を超えています
- 選んだ区分
- A・B(住宅地)告示の言い方: A及びB
- その区分とは
- Aは専ら住居の用に供される地域、Bは主として住居の用に供される地域
- 基準値
- 55デシベル以下昼間(午前6時から午後10時まで)
- いまの値との差
- 8.01デシベル超えています
この判定は測定の代わりにはなりません。告示は等価騒音レベル(騒音計のA特性で、時間の区分ごとの全時間を通じて測った値) を、住居等の騒音の影響を受けやすい面で評価すると定めています。ここでできるのは、 入れた数字が基準値の上か下かを示すことだけです。
よくある質問
60デシベルの音が2つあると何デシベルになりますか?
63.01デシベルです。120にはなりません。デシベルは音圧の比の常用対数で決めた目盛りなので、そのまま足し算にはならないからです。合成の式は「10かける、各音の10分の1乗を全部足したものの常用対数」で、同じ大きさの音が2つなら音の強さが2倍、つまり10かける2の常用対数で3.01デシベル増えるだけです。
0デシベルは音が無いという意味ですか?
違います。0デシベルは「基準に決めた音圧と同じ」という意味です。計量単位令の別表第二は、音圧レベルを「音圧実効値の十万分の二に対する比の常用対数の二十倍」と定めています。基準は十万分の二パスカル、つまり0.00002パスカルです。これより小さい音はマイナスのデシベルになりますし、音圧がまったくの0のときはデシベルの値そのものが決まりません。
60デシベルと40デシベルの音が同時にあると何デシベルですか?
60.04デシベルです。ほとんど60デシベルのままになります。20デシベルの差は音の強さで100分の1の差なので、足しても1.01倍にしかならないからです。だから騒音を下げたいときは、いちばん大きい音から手をつけないと意味がありません。小さいほうをいくら静かにしても、合計はほとんど変わりません。
音圧のパスカルとデシベルはどう換算しますか?
音圧を0.00002パスカルで割って、その常用対数を20倍するとデシベルになります。逆にデシベルからは、0.00002に10の「デシベル割る20」乗を掛けます。1パスカルはちょうど93.98デシベル、60デシベルはちょうど0.02パスカル、120デシベルはちょうど20パスカルです。音圧が10倍になるとデシベルは20増えます。
騒音の環境基準は何デシベルですか?
一般地域では、AA類型が昼間50デシベル以下・夜間40デシベル以下、A及びB類型が55と45、C類型が60と50です。昼間は午前6時から午後10時まで、夜間は午後10時から翌日の午前6時までです。道路に面する地域はこれと別の表になり、幹線交通を担う道路に近接する空間には昼間70・夜間65という特例があります。どの類型を当てはめるかは都道府県知事が指定します。
この環境基準はどんな音にも当てはまりますか?
当てはまりません。告示の第3(環境基準の適用除外について)が「この環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音及び建設作業騒音には適用しないものとする」と定めていて、それぞれ別に基準があります。また評価は等価騒音レベル、つまり騒音計のA特性で時間の区分ごとの全時間を通して測った値で行うと決められています。計算した数字は測定値の代わりにはなりません。
60デシベルの音を2つ合わせても、120デシベルにはなりません。63.01デシベルです。合成した値と音圧(パスカル)を出して、 騒音の環境基準に収まっているかまで見ます。
60 + 60 が 63.01 になるのは、目盛りが対数だからです
デシベルは「大きさそのもの」ではなく、基準の音圧と何倍ちがうかを 対数で表した目盛りです。だから長さや重さのように足せません。 音が2つあるときに足せるのは音の強さ(エネルギー)のほうで、合成の式はこうなります。
L = 10 × log₁₀( 10^(L₁/10) + 10^(L₂/10) + … )
同じ大きさの音が2つなら、強さはちょうど2倍。 10 × log₁₀2 = 3.01 なので、60デシベルは63.01デシベルになります。3つなら64.77、4つでも66.02デシベルです。音の数を2倍にするたびに3.01ずつ増えるだけで、 いつまでたっても120には届きません。
音圧で見ると、2つ合わさったときの音圧は2倍ではなく約1.41倍(2の平方根)です。 音の強さが音圧の二乗に比例するので、強さが2倍なら音圧は平方根の分だけしか増えません。 式の指数に 20 ではなく 10 が出てくるのは、これが理由です。
60 + 40 は 60.04。大きい音が全部決めてしまいます
ここがいちばん役に立つところです。60デシベルと40デシベルの音が同時に鳴っていても、 合計は60.04デシベル。ほとんど60デシベルのままです。
20デシベルの差は、音の強さでは100分の1。 100分の1のものを足しても 1.01倍にしかならず、10 × log₁₀1.01 = 0.04 デシベルしか増えません。
つまり静かにしたいなら、いちばん大きい音から止めるしかありません。 小さいほうの機械をどれだけ静かにしても、合計の数字はほとんど動かない。 上の表の「止めたら下がる量」の列は、そのことをそのまま数字にしたものです。
0デシベルは「音が無い」ことではありません
デシベルの決まりは法令に書いてあります。計量単位令(平成4年政令第357号)別表第二の第六号「音圧レベル」は、 こう定めています。
「音圧実効値…の十万分の二に対する比の常用対数の二十倍」
十万分の二パスカル(=0.00002パスカル、20マイクロパスカル)が 0デシベルの位置です。無音という意味ではなく、そこを目盛りの原点に決めたというだけなので、 それより静かな音はマイナスのデシベルになります。
比べる相手が決まっているので、パスカルとデシベルは行き来できます。1パスカルはちょうど93.98デシベル、60デシベルは0.02パスカル、 120デシベルは20パスカルです。 音圧が10倍になるとデシベルは20増える ── 条文の「二十倍」がそのまま効いています。
環境基準は、昼と夜で別の値です
環境基本法第16条第1項は、騒音について 「維持されることが望ましい基準」を政府が定めると決めています。 それを受けた「騒音に係る環境基準について」(平成10年9月30日環境庁告示第64号)が、実際の数字を持っています。
時間の区分は、昼間が午前6時から午後10時まで、夜間が午後10時から翌日の午前6時まで。 地域の類型をどこに当てはめるかは都道府県知事が指定します。
一般地域
| 地域の類型 | 昼間デシベル以下 | 夜間デシベル以下 |
|---|---|---|
| AA療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域 | 50 | 40 |
| A及びBAは専ら住居の用に供される地域、Bは主として住居の用に供される地域 | 55 | 45 |
| C相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域 | 60 | 50 |
道路に面する地域
道路に面する地域は、上の表ではなくこちらの値になります。この表には2つの行しかありません。一般地域と同じようにAA・A・B・Cの4段があると思いがちですが、「AA地域の道路」という行は告示に存在しません。
| 地域の区分 | 昼間デシベル以下 | 夜間デシベル以下 |
|---|---|---|
| A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域 | 60 | 55 |
| B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域及びC地域のうち車線を有する道路に面する地域 | 65 | 60 |
さらに幹線交通を担う道路に近接する空間には特例があり、 上の表にかかわらず昼間70デシベル以下・夜間65デシベル以下となります。その備考には、窓を主として閉めた生活が営まれていると認められるときは屋内へ透過する騒音(昼間45・夜間40デシベル以下)で見てよい、とも書かれています。
この基準を当てはめてはいけない音があります
告示の第3は、航空機騒音・鉄道騒音・建設作業騒音にはこの環境基準を適用しないと定めています。 それぞれ別に基準があるので、 ここの数字を持ち込んではいけません。
評価のしかたも決まっています。等価騒音レベル(騒音計のA特性で、時間の区分ごとの全時間を通して測った値)を、 住居等の騒音の影響を受けやすい面で評価する ── これが告示の求めるやり方です。計算で出した数字は、測って出した値の代わりにはなりません。
足し算の式が使えるのは、2つの音が無相関のときです
いちばん上の計算に使った式は、2つの音が互いに無相関であることを前提にしています。 別々の機械や別々の車から出る音はふつう無相関なので、同じ大きさの音が2つで+3デシベルと覚えて構いません。
ただし、波の山と谷がぴたりとそろうと話が変わります。 このときは音圧が そのまま足し算になるので、同じ大きさの音が2つで+6.02デシベル── 無相関のときのちょうど2倍増えます。 逆に山と谷が正反対なら打ち消し合って小さくなります。 ノイズキャンセリングのイヤホンは、これをわざと起こしている道具です。
数値の出どころ: 0デシベルの決まりは計量単位令 別表第二(第三条関係)第六号(新しいタブで開きます)、環境基準は環境基本法第16条第1項(新しいタブで開きます)に基づく「騒音に係る環境基準について」(平成10年9月30日環境庁告示第64号)(新しいタブで開きます)の表から、そのまま取っています。 法令や告示は著作権法第13条により著作権の目的にならないので、条文をそのまま引けます。 合成の式は定義から導いたもので、丸めた係数は使っていません。