記号としるし
記号は誰かが決めて、みんなで使っている取り決めです。決めた文書までさかのぼって並べました。
「習ったのに地図に無い記号」があります。工場の記号がそうで、いまの図式では定められていません。記号は自然にできたものではなく、その時々に決め直されているからです。だからこのジャンルは、覚え方ではなく、いまどの文書に何が書いてあるかを示して、そこから仕組みが分かるようにしてあります。
決めた文書はそれぞれ違います。地図記号は国土地理院の図式、船が掲げる形と夜の灯火は海上衝突予防法、旗は国際信号書(International Code of Signals)。世界中で共通のものと、日本だけのものがあります。黒い球1個が「いかりで止まっています」を意味するのは外国の船でも同じですが、天気記号の矢羽根は日本式と国際式でまったく別の決まりです。
この分野の道具(17本)
- 通話表「朝日のア」は語呂合わせではなく、法令の別表に一字ずつ書いてあります。打った字をその言い方に直します
- 記号の名前「シャープ」と呼んでいる # の正式名は NUMBER SIGN で、シャープ ♯ は別の文字です
- 地図記号習ったのに地図に無い記号があります。工場は今の図式では定められていません
- 国際信号旗船は旗を1枚ずつしか積まないので、同じ字が続くと別の旗になります
- 船の記号と合図黒い球1個は「いかりで止まっています」。形と数とライトの色で伝えます
- モールス符号受け取った符号も文字に直せます。和文と欧文は別物なので混ぜられません
- ローマ数字3999までしか書けません。Mより大きい記号が無いからです。0もありません
- 方位「北の風」は北へ吹く風ではなく、北から吹いてくる風です。角度と方位名を相互に変換します
- 文字を隠す隠すだけでなく、見破る側も試せます。すぐ見つかります
- 暗号はどう破られたか「解けない」と呼ばれたものが、どう解かれてきたかを追います
- おみくじとコイン回数を増やすと、割合は半々に近づくのに出た回数の差は開きます
- 灯台の光り方Fl(2) G 6s と入れると、その周期で光ります。灯台は色より「何秒に何回」で見分けます
- 校正記号トルツメ・アキ・改行などの記号を押すと、直す前と直した後が絵で出ます。横書きと縦書きを切り替えられます
- 洗濯表示洗濯おけ・三角形・正方形・アイロン・円の5つの基本記号に、点と線と数字が付いて意味が決まります。2016年11月までの22種も並べます
- 抵抗器のカラーコード帯の色を選ぶと抵抗値が出ます。数字にならない金・銀の位置は、読む向きの手がかりになります
- 震度と加速度(ガル)震度階級を選ぶと、そのとき何が起きるかが気象庁の解説表で出ます。加速度(ガル)だけでは震度が決まらない理由も並べます
- マグニチュードの計算2つのマグニチュードを入れると、地震のエネルギーが何倍か、何個分かを気象庁の数で出します。1違うと約32倍、2違うと約1,000倍です
聞き間違いを防ぐために、文字を言葉ごと言う
無線では「B」と「D」、「M」と「N」が聞き分けにくいので、1文字ずつ別の言葉に置き換えて読みます。国際的には Alfa Bravo Charlie、日本語では「朝日のア、いろはのイ」。その文字だけを取り出さず、文字を含む言葉ごと言うのが要点で、雑音まじりでも言葉なら推測が効きます。
綴りが Alpha ではなく Alfa なのは、英語を母語としない人が ph を f と読めるとは限らないためです。Juliett の t が2つあるのも、語尾の t を落として読まれないようにする工夫です。世界中で使う前提なので、わざと英語らしくない綴りにしてあります。
読む向きが決まって、はじめて数になる
抵抗器の帯の色は、黄が4、橙が3というように数字を表します。ところが同じ並びでも、右から読むか左から読むかで別の数になってしまいます。そこで、数字を持たない金と銀を許容差の帯として端に置き、どちらが端かを色そのもので示す決まりになっています。色が数字を持つだけでは足りず、読む向きまで決めて、はじめて数として読めるようになります。
ナンバープレートも同じで、地名・分類番号・かな・一連指定番号の4つが、それぞれ別のことを表しています。どこに何が来るかは自動車登録規則の別表で決まっていて、見た目には同じ数字でも、置かれた場所が違えば指しているものが違います。記号を読むというのは、一つ一つの意味を覚えることではなく、どこに何が来る決まりなのかを知ることだと分かります。
打ち消すためだけの記号もあります。原付の二段階右折には、それを指定する標識と、それを打ち消す「一般原動機付自転車の右折方法(小回り)」の標識の2種類が用意されています。記号は増えるだけでなく、前の記号を取り消すためにも作られるということです。決めた文書まで見にいくと、こういう対になった仕組みが見えてきます。
よく使う文字ほど、符号が短い
モールス符号の E は短点1つ、T は長点1つです。どちらも英語でいちばんよく出る文字です。逆に Q や Y は長めの組み合わせになります。文章全体を短く送るために出やすい文字へ短い符号を割り当てたわけで、これは今のデータ圧縮とまったく同じ考え方です。
日本語のモールス符号(和文)は、欧文とは別の割り当てを持ちます。同じ短点と長点の並びでも、和文と欧文では違う文字になるので、どちらのつもりで送られたのかが分からないと読めません。記号は、決めた集まりの外へ持ち出すと意味を失います。