調べて分かる道具箱

記号としるし

記号は誰かが決めて、みんなで使っている取り決めです。決めた文書までさかのぼって並べました。

「習ったのに地図に無い記号」があります。工場の記号がそうで、いまの図式では定められていません。記号は自然にできたものではなく、その時々に決め直されているからです。だからこのジャンルは、覚え方ではなく、いまどの文書に何が書いてあるかを示して、そこから仕組みが分かるようにしてあります。

決めた文書はそれぞれ違います。地図記号は国土地理院の図式、船が掲げる形と夜の灯火は海上衝突予防法、旗は国際信号書(International Code of Signals)。世界中で共通のものと、日本だけのものがあります。黒い球1個が「いかりで止まっています」を意味するのは外国の船でも同じですが、天気記号の矢羽根は日本式と国際式でまったく別の決まりです。

この分野の道具(17本)

聞き間違いを防ぐために、文字を言葉ごと言う

無線では「B」と「D」、「M」と「N」が聞き分けにくいので、1文字ずつ別の言葉に置き換えて読みます。国際的には Alfa Bravo Charlie、日本語では「朝日のア、いろはのイ」。その文字だけを取り出さず、文字を含む言葉ごと言うのが要点で、雑音まじりでも言葉なら推測が効きます。

綴りが Alpha ではなく Alfa なのは、英語を母語としない人が ph を f と読めるとは限らないためです。Juliett の t が2つあるのも、語尾の t を落として読まれないようにする工夫です。世界中で使う前提なので、わざと英語らしくない綴りにしてあります。

読む向きが決まって、はじめて数になる

抵抗器の帯の色は、黄が4、橙が3というように数字を表します。ところが同じ並びでも、右から読むか左から読むかで別の数になってしまいます。そこで、数字を持たない金と銀を許容差の帯として端に置き、どちらが端かを色そのもので示す決まりになっています。色が数字を持つだけでは足りず、読む向きまで決めて、はじめて数として読めるようになります。

ナンバープレートも同じで、地名・分類番号・かな・一連指定番号の4つが、それぞれ別のことを表しています。どこに何が来るかは自動車登録規則の別表で決まっていて、見た目には同じ数字でも、置かれた場所が違えば指しているものが違います。記号を読むというのは、一つ一つの意味を覚えることではなく、どこに何が来る決まりなのかを知ることだと分かります。

打ち消すためだけの記号もあります。原付の二段階右折には、それを指定する標識と、それを打ち消す「一般原動機付自転車の右折方法(小回り)」の標識の2種類が用意されています。記号は増えるだけでなく、前の記号を取り消すためにも作られるということです。決めた文書まで見にいくと、こういう対になった仕組みが見えてきます。

よく使う文字ほど、符号が短い

モールス符号の E は短点1つ、T は長点1つです。どちらも英語でいちばんよく出る文字です。逆に Q や Y は長めの組み合わせになります。文章全体を短く送るために出やすい文字へ短い符号を割り当てたわけで、これは今のデータ圧縮とまったく同じ考え方です。

日本語のモールス符号(和文)は、欧文とは別の割り当てを持ちます。同じ短点と長点の並びでも、和文と欧文では違う文字になるので、どちらのつもりで送られたのかが分からないと読めません。記号は、決めた集まりの外へ持ち出すと意味を失います。

こういうときは、これ

地図の記号が読めない
地図記号いまの図式にあるものだけを並べます
船が何をしているか知りたい
船の記号と合図黒い形とライトの色と汽笛の意味
船の旗の意味を知りたい
国際信号旗1枚でも意味を持つ旗があります
トンツーを文字に直したい
モールス符号和文と欧文は別物なので混ぜられません
時計の数字を読みたい
ローマ数字3999までしか書けない理由も