調べて分かる道具箱

酸性・アルカリ性の掃除 ── 汚れごとに効く洗剤

汚れ

効くのは

酸性の側とかす

主成分は、水にとけにくい炭酸カルシウム。酸でとかして落とします。

pH 7.0 は、住まいの洗剤の表示で 中性

pH の帯の絵。上がアルカリ性、下が酸性です。水あかに効くのは酸性の側で、その側の2つの帯を太い枠で囲んでいます。pH 7.0 は中性の帯にあります。

汚れと洗剤: 日本家政学会誌 72巻4号「洗浄における酸・アルカリ中和説の問題点」p.200・202・203(2026-10-03 に取得した版)/液性の区分: 消費者庁「雑貨工業品品質表示規程」別表第二 二十七(2026-10-03 に見た文)

洗剤は、1つだけで使う

「まぜるな 危険」の表示の絵が2つ。どちらも枠のある白い地で、「まぜるな」の字は黄色に黒の縁取り、「危険」の字は赤です。上は「酸性タイプ」(赤系の字)、下は「塩素系」(黄系の字)の製品の表示です。

「まぜるな 危険」は、「塩素系」と「酸性タイプ」に付く表示です。2つをいっしょに使うと、有害な塩素ガスが出ます。

国民生活センターは、テストの結果を「次亜塩素酸塩を含む塩素系洗浄剤では、酸、エタノールなどと混ぜることで塩素ガスが発生しました。」と発表しています。

同じ発表は、こう呼びかけています。

「塩素系洗浄剤は、必ず単独で使用しましょう。」

「塩素系洗浄剤を使用する際には、換気を十分に行い、保護具を着用しましょう。」

「排水トラップ内には、以前に使用した洗浄剤が残留している場合があります。使用後は十分に水を流し、他の洗浄剤等を続けて使用することは避けましょう。」

「塩素ガスが発生したら、その場を離れましょう。塩素ガスを吸い込んでしまったら、医師に相談しましょう。」

使うときは、ゴムなどの手袋か、柄の付いたたわしを使います。洗剤は、子どもの手が届かない所にしまいます。どちらも、住まいの洗剤の表示の決まりにある注意です。

消費者庁「雑貨工業品品質表示規程」別表第二 二十七(2026-10-03 に見た文)・国民生活センター「住宅用塩素系洗浄剤の使い方-まぜるな危険!浴室などで事故が発生しています-」2026年3月18日の公表(2026-10-03 に見た文)

住まいの洗剤の液性と pH

住まいの洗剤の液性の5つの区分と pH の範囲
問い答え
アルカリ性11.0を超える
弱アルカリ性8.0を超え11.0以下
中性6.0以上8.0以下
弱酸性3.0以上6.0未満
酸性3.0未満

pH は25℃で測ります(住まいの洗剤の表示の決まり)。

やってみる

1問目 / 全4問

水あかを落とすのは、どちらの側の洗剤?

汚れの種類を選ぶと、酸性とアルカリ性のどちらの側の洗剤が効くかと、そのしくみが出ます。読み物では、よく見る「中和で落とす」という説明を、論文の文でたしかめます。

汚れは、中性から大きくはなれると、水にとけやすくなる

「反対の性質の洗剤で中和して落とす」という説明を、よく見かけます。

日本家政学会誌の論文(2021年)は、こう書いています。「実は物質は中和状態が最も安定であり,溶解しにくい状態となる.逆に酸性或いはアルカリ性に大きく偏らせると,物質は電気的な安定性を失い,水への溶解性を高める.」

中和したところが、いちばんとけにくい。汚れは、中性から酸性の側やアルカリ性の側へ大きくはなれると、水にとけやすくなります。

水あかとさびは、酸でとかす

水あかの主成分は、水にとけにくい炭酸カルシウムです。鉄さびは、鉄の酸化物です。どちらも、酸でとかして落とします。

中学校で習う中和は、酸とアルカリから水と塩ができる反応です。水あかやさびを酸でとかすのは、それとは別の反応です。

同じ論文の文:「酸洗浄剤で除去する対象の代表的なものは炭酸カルシウムが主成分の水垢と鉄(Ⅲ)酸化物である鉄さびが主体であるが,酸剤によって適・不適が大きく分かれる.」

洗剤どうしを混ぜると、有害な塩素ガスが出るものがあります。洗剤は、1つだけで使います。

皮脂の脂肪酸は、アルカリで石けんになる

皮脂の主な成分の一つに、脂肪酸があります。同じ論文の文:「この脂肪酸はアルカリ性条件下で水溶性の石けんに変化する.」

これは、酸とアルカリの中和です。「中和で落とす」がそのまま当てはまるのは、この脂肪酸のときです。

食用の油にふくまれる、ばらばらの脂肪酸(遊離脂肪酸)は、ごくわずかです。油には、強いアルカリの分解(けん化)や、弱いアルカリの散らす力が効きます。

洗剤の「中性」は、pH 6.0から8.0まで

小学6年の理科では、リトマス紙などを使って、水溶液を酸性・アルカリ性・中性の3つに分けます。pH の数は中学3年で学び、pH 7 が中性です。

住まいの洗剤の表示の決まりでは、pH で5つに分けます。中性は pH 6.0以上8.0以下で、幅があります。pH は25℃で測ります。5つの区分は、道具の下の早見表にあります。

「まぜるな 危険」は、色まで決まっている

表示は、枠のある白い地に書きます。決まりの文には「「まぜるな」の文字は黄色に黒の縁取りをし」、「「危険」の文字は赤色で」とあります。

酸性タイプの製品には「枠を設け「酸性タイプ」と赤系色で表示」、塩素系の製品には「枠を設け「塩素系」と黄系色で表示」という決まりもあります。

「酸性タイプ」は、液性の「酸性」とは別の言葉です。表示がいるかどうかは、決まった試験の結果で決まります。

表示が名指しする相手は、「塩素系」と「酸性タイプ」の2つです。塩素系は、ほかの物と混ぜても塩素ガスが出ることがあります。洗剤は、1つだけで使います。

よくある質問

酸性とアルカリ性、掃除ではどう使い分ける?

汚れの種類で決まります。水あかとさびは酸性の側の洗剤でとかし、油と皮脂はアルカリ性の側の洗剤で落とします。汚れは、中性から大きくはなれると、水にとけやすくなります。塩素系の洗剤は、1つだけで使います。

水垢は酸性とアルカリ性のどっちで落とす?

酸性の側の洗剤です。水あかの主成分は、水にとけにくい炭酸カルシウムで、酸でとかして落とします。中学校で習う中和(酸とアルカリから水と塩ができる反応)とは別の反応です。洗剤どうしを混ぜると、有害な塩素ガスが出るものがあります。洗剤は、1つだけで使います。

油汚れは酸性とアルカリ性のどっち?

アルカリ性の側の洗剤です。強いアルカリは油を分解し(けん化)、弱いアルカリは汚れを散らす力を強めます。食用の油にふくまれる、ばらばらの脂肪酸はごくわずかなので、石けんに変わる分は少しです。

皮脂汚れは酸性とアルカリ性のどっち?

アルカリ性の側の洗剤です。皮脂の主な成分の一つの脂肪酸は、弱いアルカリでも、水にとける石けんに変わります。日本家政学会誌の論文(2021年)には「この脂肪酸はアルカリ性条件下で水溶性の石けんに変化する.」とあります。これは酸とアルカリの中和です。洗剤どうしを混ぜると、有害な塩素ガスが出るものがあります。洗剤は、1つだけで使います。

まぜるな危険はなぜ?

「塩素系」と「酸性タイプ」をいっしょに使うと、有害な塩素ガスが出るからです。表示は、決まった試験で塩素ガスが一定より多く出る製品に付けます。国民生活センターは、テストの結果を「次亜塩素酸塩を含む塩素系洗浄剤では、酸、エタノールなどと混ぜることで塩素ガスが発生しました。」と発表しています。洗剤は、1つだけで使います。

洗剤の液性とは?

洗剤が酸性かアルカリ性かを、pH で分けて表す言葉です。住まいの洗剤の表示の決まりでは、アルカリ性・弱アルカリ性・中性・弱酸性・酸性の5つで、中性は pH 6.0以上8.0以下です。学校で習う中性は pH 7 で、洗剤の表示では幅があります。

酸性・アルカリ性は、どうやって調べる?

小学6年の理科で、リトマス紙などを使って調べます。文部科学省の解説には「リトマス紙などを用いて調べることにより,酸性,アルカリ性,中性の三つの性質にまとめられることを捉えるようにする。」とあります。pH の数は、中学3年で学びます。

風呂掃除で、酸性とアルカリ性を続けて使うときは?

前に使った洗剤が、排水口に残っていることがあります。国民生活センターは「排水トラップ内には、以前に使用した洗浄剤が残留している場合があります。使用後は十分に水を流し、他の洗浄剤等を続けて使用することは避けましょう。」と呼びかけています。塩素系の洗剤は、1つだけで使います。