調べて分かる道具箱

標本調査 ── 池の魚を2回すくって見積もる

全体の数の見積もり

約229匹

N = n₁n₂m = 80×207 ≒ 229N=n₁n₂/m=80×20/7≒229

1回目 80匹に目印2回目 20匹目印 7匹池の魚 ?匹

2回目にすくう数

2回目にすくった魚。目印の魚は黄色で、赤い札つき。

見積もりの散らばり ── すくう数でくらべる箱ひげ図

10匹
20匹
40匹
2回目にすくう数ごとの、見積もりの回数・範囲・四分位範囲
すくう数回数範囲四分位範囲
10匹0——
20匹1——
40匹0——

点は1回ごとの見積もり。4回以上で箱ひげ図を描きます。1つのすくう数で40回まで。

開いたときの池とすくう順は、毎回同じです。「新しい池」で、魚の数も並びも変わります。

式: 総務省統計局「生物の個体数を把握(なるほど統計学園)の式(3)の画像」(2026-10-03 に取得した版)(画像の式を文字に直しました)/取り出す数を変えて何回か推定する活動: 文部科学省「【数学編】中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」p.156(2026-10-03 に取得した版)

標識再捕獲法の計算 ── 3つの数を入れる

1回目に目印を付けた数(n₁)

2回目にとった数(n₂)

2回目の中の目印の数(m)

全体の数の見積もり(N)

約240

N = 30×405 = 240

割り切れないときは、小数第1位を四捨五入しています。

やってみる

1問目 / 全4問

池の魚40匹に目印を付けて戻しました。あとで50匹すくうと、目印のある魚は5匹。池の魚は、およそ何匹?

標本調査は、中学3年の数学で習います。学習指導要領は「コンピュータなどの情報手段を用いるなどして無作為に標本を取り出し,整理すること」を挙げています。池の魚を2回すくって全体の数を見積もる標識再捕獲法は、中3の標本調査の考え方を使う方法です。

標本調査と全数調査の違い ── 一部から全体を推定する

母集団(池の魚ぜんぶ)標本(すくった魚)

全部を調べるのが全数調査、一部を調べて全体を推し量るのが標本調査です。

学習指導要領の解説は「一部のデータを基にして,全体についてどのようなことがどの程度まで分かるのかを考えることが必要になる。このようにして生み出されたのが標本調査である」と書いています。

総務省統計局は、標本調査について「全数調査に比べて手間や費用を省くことができますが、標本誤差が生じてしまうため、標本は偏りが生じないように選ぶ必要があります」と書いています。

標識再捕獲法の公式 ── 2回すくって全体を推定

2回目 20匹のうち目印 8匹池ぜんぶ N匹のうち目印 60匹

N = n₁n₂m

例: N = 60×208 = 150

総務省統計局は「個体数を把握する最も簡単な方法は、捕獲再捕獲法(標識再捕獲法とも言われます)と呼ばれる手法です」と書いています。

手順は「まず、湖からn1匹の魚を捕獲します。魚にはタグなどの目印を付けて、湖(母集団)に戻します」から始まります。しばらくしてから、もう一度とった魚の中で、目印の付いた魚を数えます。

網の中の目印の割合と、池全体の目印の割合が同じと考えると、全体の数Nは下の式で見積もれます。式は、総務省統計局の頁の画像の式を文字に直したものです。

2回目の目印が0匹のときは、式が0で割る形になります。0で割る話は、0で割れない訳のページへ。

標本の大きさと散らばり ── すくう数を変えて何回も

10匹
20匹
40匹

学習指導要領の解説は、辞書の単語の数を見積もる例で「例えば,取り出すページ数を10,20,30,…と変えて,それぞれについて見出しの単語の総数を何回か推定し,その推定した値をデータとする」と書いています。

そして「そのようにして得られたデータの分布のばらつきを箱ひげ図などを用いて表し,標本の大きさが大きい方がその範囲や四分位範囲が小さくなる傾向があることを理解できるようにすることが考えられる」としています。

上の道具の最初の池で、2回目にすくう数を20匹・40匹・10匹の順に21回ずつ見積もると、範囲は10匹300・20匹277・40匹78、四分位範囲は107・51・43でした(計算)。開いたまま「20回すくう」、40匹にして「20回すくう」、10匹にして「20回すくう」と押すと、道具でも同じ数になります。

魚の数がそろった池を種1〜2000の2,000通り作って同じ手順で数えると、範囲も四分位範囲もこの順になったのは978通り(48.9%)でした(計算)。解説は「実験などの活動を通して,標本調査では予測や判断に誤りが生じる可能性があることを経験的に理解できるようにする」とも書いています。

標識再捕獲法の注意点 ── よく混ざっていることが前提

見積もり 約94匹左半分 86匹池ぜんぶ 180匹

総務省統計局の頁は、式が成り立つ前提を「目印を付けた魚が湖に均一に混ざっていれば」と書いています。

魚がほとんど動かず、1回目も2回目も池の左半分ですくうと、この池(魚180匹)では見積もりが約94匹になりました。左半分にいる魚の数(86匹)に近い数です(計算)。

総務省統計局は「捕獲、再捕獲の時点の個体の総数Nが変化する場合やほとんど移動しない個体や目印を付けることが困難な個体などを調査対象とする場合」などを、この方法での推定に向かない場合として挙げ、「注意が必要です」と書いています。

学習指導要領は、中学3年で「標本調査の方法や結果を批判的に考察し表現すること」も挙げています。

無作為抽出のやり方 ── 乱数表・乱数さい・表計算

東京都の統計の学習ページは「母集団の中の要素に通し番号を付けて、その中から標本の要素となる番号を無作為に抽出するには、乱数表や乱数さい、コンピュータをつかいます」と書いています。

同じページは、乱数さいを「正二十面体の各面に、0から9までの数字が2回ずつ書き込まれたさいころのことです」と書いています。

表計算ソフトでは「コンピュータの表計算ソフトなどで、一つのセルに『=INT(RAND()*300+1)』と入力し、『Enter』キーを押すとそのセルに1以上300以下の数字が表示されます」とあります。

コンピュータが作る乱数のしくみは、ランダムな数のページで読めます。

よくある質問

標本調査とは何ですか

一部を調べて、全体を推し量る調べ方です。学習指導要領の解説は「一部のデータを基にして,全体についてどのようなことがどの程度まで分かるのかを考えることが必要になる。このようにして生み出されたのが標本調査である」と書いています。全部を調べるのは全数調査です。

標本調査と全数調査の違いは何ですか

全部を調べるのが全数調査、一部を調べるのが標本調査です。総務省統計局は、標本調査について「全数調査に比べて手間や費用を省くことができますが、標本誤差が生じてしまうため、標本は偏りが生じないように選ぶ必要があります」と書いています。鳥取県の統計課は「例えば、よく知られている公的統計のうち、『国勢調査』は国内に住む全人口・世帯の属性を調べる全数調査ですが、『家計調査』は国内約9千世帯の家計収支を調べる標本調査です」と書いています。

標識再捕獲法(捕獲再捕獲法)とは何ですか

総務省統計局は「個体数を把握する最も簡単な方法は、捕獲再捕獲法(標識再捕獲法とも言われます)と呼ばれる手法です」と書き、湖の魚の数を見積もる例をあげています。1回目にとった魚に目印を付けて戻し、2回目にとった中の目印の数から、全体の数を見積もります。中3の標本調査の考え方を使う方法です。

標識再捕獲法の公式と計算のしかたは

1回目に目印を付けた数をn₁、2回目にとった数をn₂、その中の目印の数をmとすると、全体の数NはN=n₁n₂/mで見積もれます(総務省統計局の頁の画像の式を文字に直しました)。たとえばn₁=30、n₂=40、m=5なら、30×40を5で割って240です(計算)。

標識再捕獲法の注意点は何ですか

総務省統計局は、式の前提を「目印を付けた魚が湖に均一に混ざっていれば」と書いています。また「捕獲、再捕獲の時点の個体の総数Nが変化する場合やほとんど移動しない個体や目印を付けることが困難な個体などを調査対象とする場合」などを、この方法での推定に向かない場合として挙げ、「注意が必要です」と書いています。

無作為抽出とは、どうやるのですか

選ばれ方にかたよりが出ないように、くじのように選ぶことです。学習指導要領の解説は「無作為に標本を抽出することにより,母集団における個々の要素が取り出される確率が等しくなると考えられる」と書いています。東京都の統計の学習ページは「母集団の中の要素に通し番号を付けて、その中から標本の要素となる番号を無作為に抽出するには、乱数表や乱数さい、コンピュータをつかいます」と書いています。

標本調査は何年生で習いますか

中学3年の数学です。学習指導要領は「コンピュータなどの情報手段を用いるなどして無作為に標本を取り出し,整理すること」と「簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向を推定し判断すること」を挙げています。

標本調査のサンプル数は、どれくらい必要ですか

学習指導要領の解説は「標本の大きさが大きい方が母集団の傾向を推定しやすくなることを,経験的に理解できるようにすることが大切である」と書いています。このページの道具でも、すくう数を10匹・20匹・40匹と変えてくらべられます。大人向けの話として、鳥取県の統計課は、よく用いられる精度(95%の確からしさで±5ポイント)について「この場合には384人という標本サイズが必要です」と書き、「より厳しく、95%の確からしさで±3ポイントの精度を求める場合だと、1,066人という標本サイズが必要です」と続けています。