ベクトルの内積と外積
左右とも同じ2つの矢印を描いています。違うのは出てくる答えの種類だけです。左は数(オレンジの太い線が、A の向きに映した B の影。その長さと A の長さをかけたものが内積)、右は矢印(破線の平行四辺形と垂直な向き)。B×A は正反対を向きます。外積の矢印の長さは向きを見せるためのもので、 大きさは、下の「平行四辺形の面積」で表しています。 立体を平面の紙に描いているので、図の中の角度や長さは、見た目と違います。 本当の値は下の表の数です。
- 入力をどう読んだか
- A = (2, 3, 0)/B = (0, 1, 3)(3次元)成分は ±1,000,000 までを扱います。読めない入力には、答えの代わりに理由を出します。
- 長さ(大きさ)
- |A| = 3.6056/|B| = 3.1623成分を2乗して足し、その平方根をとった値です。
- なす角
- 74.74度cosθ = 内積 ÷(|A|×|B|)から出しています。表示は小数第2位まで。
- 直角かどうか
- ✕ 直角ではありません内積が0かどうかだけで決まります。角度を計算しなくても、かけて足すだけで直角が分かります。
- 2つが張る平行四辺形の面積
- 11|A|×|B|×sinθ の値です。3次元では、これが外積の長さとぴったり同じになります。
- 順番を入れかえた外積 B×A
- (-9, 6, -2)A×B = (9, -6, 2) と、符号が全部ひっくり返っています(A×B = −(B×A))。 かけ算なのに順番で答えが変わるところが、数のかけ算といちばん違います。 内積は A・B = B・A で変わりません。
押すと入る例どれも「そこが面白い」ところです
よくある質問
内積と外積のちがいは何ですか?
答えの種類がちがいます。内積の答えは数(スカラー)で、2つのベクトルがどれくらい同じ向きかを表します。外積の答えはベクトル(矢印)で、2つのベクトルの両方に垂直な向きを表します。同じ2つのベクトルから、片方は数、もう片方は矢印が出てくるのが、いちばん大きなちがいです。書き方も分けてあり、内積は A・B、外積は A×B と書きます。
内積が0だと何が分かりますか?
2つのベクトルが直角に交わっていることが分かります(どちらも長さが0でない場合)。内積は |A|×|B|×cosθ なので、θが90度のとき cos90度=0 になり、内積も0になるからです。角度を計算しなくても、成分をかけて足すだけで直角かどうかが決まる、というのが内積の便利なところです。文部科学省の学習指導要領解説も、内積を使う例として「ひし形の対角線は垂直に交わること」を挙げています。
外積は2次元でも計算できますか?
できません。外積は「2つのベクトルの両方に垂直な向き」を答えるものですが、平面の中にその向きが無いからです(紙から飛び出してしまいます)。だから外積は3次元だけのものです。なお、平面のベクトルで x1y2 − x2y1 という数を「外積」と呼ぶことがありますが、それは数であって、ここで言う外積(ベクトル)とは別のものです。
A×B と B×A は同じですか?
違います。向きがちょうど正反対になります(A×B = −(B×A))。外積の向きは右手の法則で決まっていて、右手の人差し指をA、中指をBに向けたときの親指の向きが A×B です。AとBを入れかえると手のひらを返すことになるので、親指は逆を向きます。かけ算なのに順番で答えが変わるところが、数のかけ算といちばんちがいます。内積は A・B = B・A で変わりません。
外積は高校で習いますか?
文部科学省の「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」を調べたところ、内積は数学Cの「(1)ベクトル」に「ベクトルの内積及びその基本的な性質について理解すること。」と明記されていますが、外積(ベクトル積・クロス積)という言葉は319ページのどこにも出てきませんでした。つまり内積は高校の内容にあり、外積は学習指導要領には書かれていません。
入れた数はどこかに送られますか?
送られません。計算はすべて、あなたのブラウザの中だけで行っています。入力した成分がサーバーに送られることも、保存されることもありません。ページを閉じれば何も残りません。
2つのベクトルを入れると、内積・外積・長さ・なす角が出ます。 いちばん大事なのは、内積の答えは数で、外積の答えは矢印(ベクトル)だということ。 同じ2つのベクトルから、種類のちがう答えが出てきます。
同じ2つのベクトルから、片方は数・片方は矢印が出てきます
ここがこのページでいちばん見てほしいところです。 内積も外積も、2つのベクトルをかけ算のように書くのに、出てくる答えの種類がまるでちがいます。
内積 A・B の答えは数です。 「2つがどれくらい同じ向きか」を1つの数にまとめたもので、 向きの情報はもう残っていません。上の図で、A の向きに B の影を落としたとき、その影の長さと A の長さをかけた値が内積です。 同じ向きに近いほど大きく、 直角のときちょうど0、反対を向くとマイナスになります。
外積 A×B の答えはベクトル(矢印)です。 「2つのベクトルの両方に垂直な向き」を答えるものなので、数ひとつでは表せません。 A と B が作る平行四辺形に、まっすぐ突き刺さる矢印だと思ってください。 その矢印の長さは、平行四辺形の面積になります。
例で確かめてみます。A = (2, 3, 0)、B = (0, 1, 3) のとき、内積は 3という数、外積は (9, -6, 2)というベクトルです。 外積の長さは 11 ちょうどで、これがそのまま平行四辺形の面積になっています。
内積が0なら直角。かけて足すだけで直角が分かります
内積は |A|×|B|×cosθ と等しくなります。 θ が90度のときcos90度 = 0 なので、直角なら内積は必ず0です。 逆に、 どちらも長さが0でないのに内積が0なら、その2つは直角に交わっています。
これは見た目より役に立ちます。角度を出すには三角関数の逆算(アークコサイン)が要りますが、直角かどうかを知りたいだけなら、成分をかけて足して0かどうかを見るだけで済むからです。分度器も三角関数も使わずに、たし算とかけ算だけで直角が判定できます。
文部科学省の学習指導要領解説も、内積の使いどころとしてこう挙げています。「内積を活用した平面図形の性質の考察として,三角形の各頂点からそれぞれの対辺に下ろした3 つの垂線が1 点で交わることやひし形の対角線は垂直に交わることなどを取り扱ったりすることが考えられる。」どちらも「垂直」を示す問題です。
おまけ: 三角関数の加法定理も、内積から出せます
同じ解説には、こんな一文もあります。「単位円周上の2 点(cosα,sinα),(cosβ,sinβ)と原点とを結ぶ2 つのベクトルの内積を,2 通りの表し方で表現することによってcos(α−β)=cosα cosβ +sinα sinβの式を導くことができる。」内積を成分で計算した式と|A||B|cosθ で計算した式を 見くらべるだけで、あの覚えにくい加法定理が出てきてしまう、というわけです。
外積は3次元にしかありません
外積は「2つのベクトルの両方に垂直な向き」を答えるものです。 ところが平面の中には、その向きがありません。 紙に2本の矢印をかいて、 その両方と直角な向きを探すと、紙から飛び出してしまうからです。
だから外積は3次元だけのもので、2次元では定義されません。 このページも、2次元のベクトルを入れたときは外積の答えを出しません。 「—」とだけ書くと「計算できなかった」ように読めてしまうので、無いものは、無いと書いています。
平面で「外積」と呼ばれる数は、別のものです
まぎらわしいことに、平面のベクトル (x1, y1) と (x2, y2) についてx1y2 − x2y1 という数を「外積」と呼ぶ流儀があります。 コンピュータで図形を扱うときによく出てきます。
これは数であって、ベクトルではありません。3次元の外積の3つ目の成分(z)だけを取り出したものにあたり、 「どちら回りか」と「平行四辺形の面積」を符号つきで表します。 便利な数ですが、ここで言う外積(両方に垂直な矢印)とは別のものなので、 このページでは同じ名前で並べません。
順番を入れかえると、外積は逆を向きます
外積の向きは右手の法則で決まっています。 右手の親指・人差し指・中指をたがいに直角に開いて、人差し指を A、中指を B に向けると、親指の向きが A×B です。
ここで A と B を入れかえてみてください。同じことをするには手のひらを返すしかなく、親指は正反対を向きます。 だからA×B = −(B×A) です。
さきほどの例だと、A×B = (9, -6, 2) に対して B×A = (-9, 6, -2)。符号が全部ひっくり返っています。
かけ算なのに順番で答えが変わるところが、 ふつうの数のかけ算といちばんちがいます(3×5 も 5×3 も15です)。内積のほうは順番を変えても同じで、学習指導要領解説にも 内積の基本的な性質として a・b=b・a が挙げられています。 同じ「2つのベクトルのかけ算のようなもの」でも、ここが分かれます。
学習指導要領に書かれているのは、内積までです
文部科学省の「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」(新しいタブで開きます)を開いて確かめました。ベクトルは数学C(2単位)の「(1)ベクトル」にあり、 身に付けることとして「ベクトルの内積及びその基本的な性質について理解すること。」、そして「座標及びベクトルの考えが平面から空間に拡張できることを理解すること。」と書かれています。
いっぽう外積(ベクトル積・クロス積)という言葉は、この319ページの解説に1つも出てきません。 だからこのページでは「外積は高校では習いません」ではなく「学習指導要領には書かれていません」と書いています ── 教科書や授業で発展として触れることはあるかもしれず、確かめられたのは「書かれていない」ことだけだからです。
ちなみに同じ解説には「なお,ベクトルについては,理科の物理でも取り扱うこととされている。」とも書かれています。数学のベクトルは計算や図形の性質が中心で、 物理のベクトルは速度や運動量の合成・分解が中心、という分担です。
入れた数は、お使いのブラウザの中だけで処理します
このページの計算は、すべてあなたのブラウザの中だけで行っています。 入力した成分がサーバーに送られることも、保存されることもありません。 ページを閉じれば、何も残りません。
出どころ: 高校の範囲の話は文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」(新しいタブで開きます)の数学編 理数編(本文の引用はすべてこの資料から)。 内積・外積・長さ・面積の計算は定義そのままで、 近似値は使っていません。 なす角だけはアークコサインの結果を小数第2位でまるめています (まるめないと、計算する機械によって最後の1けたが変わるためです)。