調べて分かる道具箱

中谷宇吉郎と雪の結晶 ── 温度と水蒸気で変わる形

気温と水蒸気の多さを選ぶと、その空で育つ雪の結晶(けっしょう)の形を描きます。

−15℃
水蒸気の多さ

育つ形

樹枝

木の枝のように枝分かれした形

−14〜−17℃・水蒸気が多いとき

この温度の基本の形は角板(−10〜−22℃・小林禎作の図)

角板と角柱: 黒田登志雄が書いた小林禎作の図(1961年)、日本気象学会「雪結晶の成長機構と形に関する理論的研究 ─昭和59年度日本気象学会賞受賞記念講演─」p.109(2026-09-30 に取得した版)/針と樹枝: 中谷宇吉郎「Snow Crystals and Aerosols」北海道大学理学部紀要 Ser. II 4(6)(1955年)p.350・p.351(2026-09-30 に見た文)

雪の結晶の形と温度の早見表

育つところの気温と、雪の結晶の形
問い答え
0〜−4℃で育つ形は?角板小林禎作の図
−4〜−10℃で育つ形は?角柱小林禎作の図
−4〜−7℃で水蒸気が多いと?針中谷宇吉郎の論文
−10〜−22℃で育つ形は?角板小林禎作の図
−14〜−17℃で水蒸気が多いと?樹枝中谷宇吉郎の論文
−22℃以下で育つ形は?角柱小林禎作の図

角板と角柱は小林禎作の図(1961年)、針と樹枝は中谷宇吉郎の論文(1955年・水蒸気が多いとき)から。

やってみる

1問目 / 全4問

この形の雪が降ってきました。育った空は何℃くらい?(水蒸気が多いとき)

氷点下の空で育つ雪の結晶(けっしょう)の形は、気温と水蒸気の多さで変わります。人工の雪を世界で初めて作った中谷宇吉郎(なかやうきちろう)は、雪の結晶を「天から送られた手紙」と書きました。

中谷宇吉郎がしたこと ── 人工の雪を世界で初めて

1936年3月12日、中谷宇吉郎(なかやうきちろう)は、北海道帝国(ていこく)大学(いまの北海道大学)の低温研究室で、人工の雪を作ることに世界で初めて成功しました。

水をあたためて出た水蒸気を冷やして、ウサギの毛の先に雪の結晶(けっしょう)を育てました。

できた結晶(けっしょう)は顕微鏡(けんびきょう)でのぞいて、写真にとりました。何倍に見えているかは、顕微鏡の倍率で計算できます。

雪の結晶の形が違う理由 ── 水蒸気の多さ

中谷は『雪を作る話』に「例えば水蒸気が多いと羽毛状に発達した繊細(せんさい)な結晶になり、中ほど位にすると綺麗(きれい)な角板になる。」と書きました。

「そして思い切って水蒸気の供給を減らすと、極めて徐々(じょじょ)に角柱状やピラミッド型の結晶が生長する。」とも書いています。

0℃より上の空気なら、水蒸気の量は、気温と湿度(しつど)から飽和水蒸気量の計算で出せます。

「雪は天から送られた手紙である」の意味

中谷宇吉郎(なかやうきちろう)は『雪』(1938年)に「このように見れば雪の結晶は、天から送られた手紙であるということが出来る。そしてその中の文句は結晶の形及(およ)び模様という暗号で書かれているのである。」と書きました。

中谷宇吉郎 雪の科学館は「この研究の意味を、博士は『雪は天から送られた手紙である』という有名な言葉で表現したのです。」と書いています。

気象研究所は、この言葉の意味を「地上で観測された雪結晶を読み解くことで上空の大気の状態を把握(はあく)できる」と説明しています。

中谷ダイヤグラムと、小林禎作の図

中谷がまとめた、気温と水蒸気の量と結晶の形の表は、のちに「中谷ダイヤグラム」と呼ばれるようになりました。

1955年の論文で中谷は、この図が1945年までの結果で「not final」(まだ途中のもの)だと書いています。

北海道大学の小林禎作(ていさく)は、1960年初めまでの実験の結果をまとめて、1961年に新しい図を作りました。気温が下がるにつれて、基本の形は板・柱・板・柱と入れかわります。

雪の結晶の種類 ── 中谷は約40種類、いまの分類は121

中谷は、十勝岳(とかちだけ)でおよそ3000枚の雪の結晶の写真を撮(と)り、代表的な形を約40種類に分けました。

いまの分類(グローバル分類)は、みぞれや雹(ひょう)などもふくめて、小さく分けると121種類です。

出典

図と絵は、このページで描いたものです。

よくある質問

中谷宇吉郎は、何をした人ですか

1936年3月12日に、人工の雪を作ることに世界で初めて成功した人です。水をあたためて出した水蒸気を冷やし、ウサギの毛の先に雪の結晶を育てました。『雪』には「室温、水温、装置などを色々変えて、約七百種ばかりの結晶を作ってその顕微鏡写真を撮った。」とあります。

「雪は天から送られた手紙である」は、どういう意味ですか

中谷宇吉郎の『雪』(1938年)に「このように見れば雪の結晶は、天から送られた手紙であるということが出来る。そしてその中の文句は結晶の形及び模様という暗号で書かれているのである。」とあります。気象研究所は、この言葉の意味を「地上で観測された雪結晶を読み解くことで上空の大気の状態を把握できる」と説明しています。

雪の結晶の形は、温度でどう変わりますか

北海道大学の小林禎作が1961年にまとめた図では、0〜−4℃は角板、−4〜−10℃は角柱、−10〜−22℃は角板、−22℃以下は角柱です。水蒸気が多いときは、−4〜−7℃で針、−14〜−17℃で樹枝ができます(中谷宇吉郎の1955年の論文)。

中谷ダイヤグラムとは何ですか

中谷宇吉郎が、気温と水蒸気の量で雪の結晶の形がどう変わるかをまとめた表で、のちにそう呼ばれるようになりました。中谷は1955年の論文で、この図は1945年までの結果で「not final」(まだ途中のもの)だと書いています。0℃から下へ、板・柱・板・柱と4段に入れかわる図は、北海道大学の小林禎作が1961年にまとめたものです。

雪の結晶は、何種類ありますか

気象研究所は、いまの分類(グローバル分類)について「氷晶やみぞれ,雹なども含めて大分類8個,中分類39個,小分類で121個にもわけられています」と書いています。中谷宇吉郎は、十勝岳で撮ったおよそ3000枚の写真をもとに、代表的な形を約40種類に分けました。

中谷宇吉郎は、何に雪の結晶を育てましたか

ウサギの毛です。『雪』に「それは極細い兎の腹毛であった。」とあり、『雪を作る話』には「なるほど兎の毛の先に六花の結晶が白く光っている。」とあります。兎は、ウサギのことです。