調べて分かる道具箱

雲の種類と天気の言い伝え

空に出ている雲を選ぶと、名前とこのあと起きやすいことが出ます。写真つきの十種雲形です。

空に見えている雲に近いものを選ぶ
上部がかなとこ形に広がった積乱雲
写真: Jakub Hałun CC BY-SA 4.0(新しいタブで開きます) ウィキメディア・コモンズ(新しいタブで開きます)(縮小して WebP に変換しています)
積乱雲せきらんうん
よくある呼び方図鑑よりこちらで覚えていることが多い
入道雲・かみなり雲
高さ下層水の粒でできている。地面のすぐ上まで下りてくることもある
地上2km
見分ける決め手似た雲と間違えやすいところ
上が平らに横へ広がっていたらこれ。積雲との違いはそこ。
このあと起きやすいこと予報ではなく、その雲が出るときの傾向
激しい雨・雷・突風・ひょうを起こす。近づいてきたら、屋外にいるなら建物の中へ移る。
なぜそうなるか仕組み
上がっていく空気が成層圏の下(対流圏界面)にぶつかり、それ以上のぼれずに横へ広がる。あの平らな形はそこで作られる。
正式な名前ラテン語の属名と、観測で使う略記
CumulonimbusCb

見た目の定義: 山のようにそびえる、重く厚い雲。上のほうは平らに広がり、かなとこの形になることが多い。

粒の大きさで見分ける

うろこ雲・ひつじ雲・うね雲は、どれも「粒が並んだ雲」で見分けにくいのですが、 国際雲図帳の定義では粒の見かけの大きさだけで線が引かれています。 高さは目で測れませんが、見かけの大きさは指で測れます。

腕をいっぱいに伸ばして、粒ひとつが指何本ぶんに見えますか

空に粒々の雲が出ているときに使えます。腕を伸ばして指を空にかざし、 粒ひとつが指何本ぶんに見えるかで、3つのうちどれかが決まります。

十種雲形の一覧

雲は世界共通で10種類に分けられていて、これを十種雲形といいます。 高さの区分は温帯(日本)の値です。

上層5km13km)・氷の粒でできている。太陽の光を通すので白く見える
呼び方と見た目
巻雲けんうんCiすじ雲・はね雲空のいちばん高いところに、白い筋だけがある。影がなく、真っ白に見える。
巻積雲けんせきうんCcうろこ雲・いわし雲・さば雲粒がとても小さい。腕を伸ばした小指の幅(約1度)より細かく見える。
巻層雲けんそううんCsうす雲暈(かさ)が出る。太陽や月のまわりに、まるい光の輪が見えたらこれ。
中層2km7km)・水の粒と氷の粒が混じる。厚くなると日ざしをさえぎる
呼び方と見た目
高積雲こうせきうんAcひつじ雲・むら雲粒に影があるところが巻積雲との違い。大きさは指1本〜3本ぶん(1〜5度)。
高層雲こうそううんAsおぼろ雲暈は出ない。太陽がぼんやり見えるのに輪ができないなら、巻層雲ではなくこちら。
乱層雲らんそううんNsあま雲・ゆき雲空が暗く、しとしとと降り続いている。太陽の位置がまったく分からない。
下層地上2km)・水の粒でできている。地面のすぐ上まで下りてくることもある
呼び方と見た目
層積雲そうせきうんScうね雲・くもり雲粒が大きい。指3本ぶん(5度)より大きく見えたらこれ。すきまから青空がのぞくことも多い。
層雲そううんStきり雲いちばん低い雲。山の中腹や建物にかかっていたらこれ。地面についたものが霧。
積雲せきうんCuわた雲底が平らで、上がもくもく。日の当たる面はまぶしいほど白い。
積乱雲せきらんうんCb入道雲・かみなり雲上が平らに横へ広がっていたらこれ。積雲との違いはそこ。

雨が近いときは、雲が高いところから下りてくる

空の変化で天気が読めると言われるのは、ほとんどがこの順番のことです。 暖かい空気が冷たい空気の上に乗り上げながら進む温暖前線が近づくと、 雲は高いものから低いものへ、順に下りてきます。

天気が下り坂に向かうときの雲の順番
雲と、そのときの空
1上層巻雲すじ雲この雲だけなら、そのときの空は晴れている。ただし数が増えて空全体に広がっていくときは、次に巻層雲が続くことが多い。
2上層巻層雲うす雲「月(太陽)に傘がかかると雨」と言われてきた雲。気象庁も、この種類の雲は低気圧の前や横にできやすいので雨になることが多いと説明している。
3中層高層雲おぼろ雲雨が近いことが多い。この雲がさらに厚くなって雲底が下がると、乱層雲に変わって雨が降り出す。
4中層乱層雲あま雲すでに雨か雪が降っている雲。広い範囲に、長い時間降り続く。

先頭の巻雲は、前線から1000km以上先に現れることがあります。 つまり雨の1〜2日前から空に出ているということで、 気象衛星が無かった時代に空を見て天気を読めたのは、この時間差があったからです。

逆に言えば、順番が進まなければ雨になりません。 巻雲が出ても、そのあと巻層雲・高層雲と続かずに消えていくなら、前線は近づいていません。1枚の空だけでは決まらず、変わっていく向きを見るのがこの読み方の要点です。

気象庁が挙げている、雲の言い伝え

気象庁の秋田地方気象台が、天気に関することわざを集めて公開しています。 そこから雲に関するものを引きます。

このうち「傘」については、気象庁自身が仕組みを説明しています。傘は高い空にできる巻層雲や高層雲という雲に光があたるとできる現象です。 この種類の雲は低気圧の前や横にできやすく、そのため傘ができると雨となることが多いのです。飛行機雲が消えないのも同じ話で、上空の湿り気が多いことを示しています。

ただし同じページには、ことわざは地域特性により当てはまらない場合もありますと書かれています。「夕焼けは晴れ」についても、春と秋はよいが夏と冬には外れることがある、 と注意が添えられています。当たる仕掛けがある一方で、外れる条件もはっきりしている、 という書き方がされていて、このページもそれに倣います。

雲の名前は、2017年に増えました

十種雲形の10種類は変わっていませんが、その下にある細かい呼び名は増えています。 国際雲図帳の2017年版は、第1巻としては40年ぶりの改訂でした (前の版は1975年、第2巻は1987年)。

このとき加わったのは、新しい種が1つ、副変種が5つ、付属雲が1つの、合わせて7つです。

2017年版で加わった呼び名
名前どんな雲か
volutusロール雲横に長い筒のような雲で、水平の軸のまわりを転がるように見える
asperitas荒れた波のような雲底副変種雲の底に波打った構造がはっきり出る。下から見た荒れた海面のような形
cavum穴あき雲副変種薄い雲に、輪郭のはっきりした丸い穴があく
fluctus波が巻いた形副変種雲の上の面が、巻き波のようにくるりと立ち上がる。長くは続かない
murus壁雲副変種積乱雲の底の一部が急に下がる。ここから漏斗雲や竜巻が伸びることがある
cauda尾状雲副変種壁雲から横に伸びる、尾のような雲
flumen流入帯付属雲積乱雲へ吸い込まれていく空気にできる、帯のような雲

雲の名前は、十種雲形(属)の下に変種副変種と枝分かれしていて、生き物の分類と同じ考え方で付いています。 だから「積乱雲」だけでなく「Cumulonimbus capillatus incus」のように、 形の特徴まで含めて1つの名前で書けます。

飛行機雲には、ちゃんとした分類名があります

国際雲図帳は、人の活動でできた雲にも名前を与えています。 人の活動が原因でできたと明らかに分かる雲には、その属の名前のあとにhomogenitus(ホモゲニタス)を付ける決まりです。

人が作った雲
名前できかた
Cirrus homogenitus飛行機雲航空機の排気でできる巻雲
Cumulus homogenitus工場や発電所の雲冷却塔から上がる暖かい空気でできる積雲

つまり飛行機雲は Cirrus homogenitus、 分類の上ではれっきとした巻雲の仲間です。 上で挙げた気象庁の言い伝え「飛行機雲が消えないで広がると雨」は、 この雲のことを言っています。 飛行機雲が消えずに広がるのは上空の湿り気が多いしるしで、 巻雲や巻層雲が出てくるときと同じ状態です。 言い伝えと分類名が、同じものを別の言い方で指しています。

よくある質問

雲を見れば明日の天気が分かりますか?

傾向は分かりますが、予報にはなりません。気象庁も、天気のことわざについて「こんなの迷信だとお笑いになる方もいるかもしれませんが、一部では科学的に根拠のあるものもあります」と書いたうえで、地域によって当てはまらない場合があること、夕焼けの言い伝えは夏と冬には外れることがあることを添えています。このページは雲の名前と仕組みを調べるためのもので、天気予報ではありません。実際の予報は気象庁の発表を見てください。

うろこ雲・ひつじ雲・うね雲はどう違うのですか?

粒の見かけの大きさだけで決まります。国際雲図帳の定義では、粒の見かけの幅が1度より小さければ巻積雲(うろこ雲)、1度から5度なら高積雲(ひつじ雲)、5度より大きければ層積雲(うね雲)です。腕をいっぱいに伸ばすと小指の幅がおよそ1度、指3本がおよそ5度なので、空に手をかざせばその場で分かります。

太陽のまわりの輪は何ですか?

暈(かさ)といい、巻層雲が出ているしるしです。この雲は氷の粒でできていて、六角柱の氷を通った光が22度だけ曲げられるため、太陽から22度はなれたところに輪ができます。気象庁は「月(太陽)に傘がかぶると雨」という言い伝えについて、この種類の雲は低気圧の前や横にできやすいので雨となることが多い、と説明しています。なお高層雲では暈はできません。太陽がぼんやり見えるのに輪が無ければ高層雲です。

積雲と積乱雲はどこで見分けますか?

上のほうが平らに横へ広がっていれば積乱雲です。上がっていく空気が対流圏の天井にぶつかり、それ以上のぼれずに横へ広がるため、かなとこのような形になります。積雲のうちは上がカリフラワーのように丸くふくらんでいます。積乱雲は激しい雨・雷・突風・ひょうを起こすので、近づいてきたら建物の中へ移ってください。

雲の高さはどこまで正確ですか?

このページの高さは温帯(日本が入る範囲)の値です。国際雲図帳の表6は、同じ上層雲でも極地方で3〜8km、温帯で5〜13km、熱帯で6〜18kmと別の値を挙げています。また乱層雲は中層に分類されますが、実際には上下の層にまたがることがほとんどで、積雲と積乱雲は雲底が下層でも雲頂が中層や上層まで届きます。層の区分は目安であって、境目のある壁ではありません。

霧と雲は違うものですか?

同じものです。層雲が地面についているものを霧と呼びます。地面に近い空気が冷えて、含みきれなくなった水蒸気が水の粒に変わったもので、成り立ちも中身も変わりません。山の中腹にかかっている雲は、ふもとから見れば雲、その場に立てば霧です。

このページは天気予報ではありません

ここで出しているのは、見えている雲が何かという分類と、その雲が出るときの一般的な傾向です。 特定の場所のあすの天気を予想して発表するものではありません。 気象業務法は、気象庁以外の者が予報の業務を行うには許可が必要だと定めています。

実際の天気は気象庁のホームページ(新しいタブで開きます)を見てください。警報や注意報が出ているときは、必ずそちらに従ってください。

数字と言い伝えの出どころ