調べて分かる道具箱

小さい数の単位

例を入れてみる

小数の名なら分=10分の1(塵劫記の表の読み)

0.99(99%)

割の言い方なら分=100分の1(割のぶん、1つ下がる)

0.099(9.9%)
桁ごとの、小数の名と割の言い方の対応
位小数の名割の言い方
0.1分(ぶ)割(わり)
0.01厘(りん)分(ぶ)
0.001毛(もう)厘(りん)
0.0001糸(し)毛(もう)★
0.00001忽(こつ)糸(し)★
0.000001微(び)忽(こつ)★
0.0000001繊(せん)微(び)★
0.00000001沙(しゃ)繊(せん)★
0.000000001塵(じん)沙(しゃ)★
0.0000000001埃(あい)塵(じん)★

★ 割の言い方で出典から確かめられているのは厘(0.001)まで。★の位は、 同じずれ方が続くものとして並べた仮定です。

この並びには割が無いので、どちらの読みかは決められません。どちらのつもりで書かれたかは、ことばの側の慣用で決まっています (「九分九厘まちがいない」はほぼ100%の意味なので、0.99 の側の読みです)。

名前で書けるのは小数点から10桁目(埃)まで。 入力はこの画面の中だけで処理します。

よくある質問

九分九厘は、数でいうとどれくらいですか?

読み方が2つあります。小数の名(分=10分の1)で読むと0.99、割の言い方(分=100分の1)で読むと0.099です。「九分九厘まちがいない」のようにほとんど100%の意味で使うことばなので、その意味に合うのは0.99のほうの読みです。この道具に九分九厘と入れると、両方の値が並んで出ます。

九分九厘と九割九分は、同じ数ですか?

どちらも0.99です。九分九厘を小数の名(分=10分の1、厘=100分の1)で読むと0.9と0.09で0.99、九割九分を割の言い方(1割=0.1、1分=0.01)で読むと0.9と0.09で、やはり0.99になります。割が入ると分から下が1つずれるので、ちがう名前が同じ数を指すことになります。この道具に九分九厘と入れると、2つの読みが並んで出ます。

打率の3割4分5厘は、なぜ0.345なのですか?

割の言い方(歩合)だからです。学習指導要領解説(算数編・第5学年)にあるとおり、1割は0.1、1分は0.01、1厘は0.001です。割という単位が10分の1の場所に入るので、分から下の名前がぜんぶ1つ小さい側にずれます。だから3割4分5厘は0.3+0.04+0.005=0.345になります。

五分五分は、なぜ半々の意味なのですか?

分を小数の名(10分の1)で読むと、五分は0.5 ── ちょうど半分です。割の言い方の分(100分の1)で読むと五分は0.05になってしまいます。同じ字がどちらの意味かは、ことばごとの慣用で決まっています。この道具に五分と入れると、2つの読みが並んで出ます。

分・厘・毛の下には、どんな名前がありますか?

糸(し)・忽(こつ)・微(び)・繊(せん)・沙(しゃ)・塵(じん)・埃(あい)と続きます。塵はちり、埃はほこり ── ふだんの言葉になっている字が、10億分の1(塵)と100億分の1(埃)の単位の名前です。この並びは江戸時代の算術書『塵劫記』の表で確かめました。書名の塵劫にも塵の字が入っています。

埃より小さい名前はありますか?

開いた『塵劫記』と名の付く本のうち、両・文から埃までの12枠の表を持つ9冊(寛永4年序から嘉永4年刊まで)は、どれも埃(10桁目)で終わります。表が分から始まる3冊 ── 天保3年序の『大全塵劫記』と、明治の『筆算塵劫記』『万福塵劫記』── は、埃の下に渺と漠を載せています(位は『筆算塵劫記』の書き方から数えて、渺が11桁目・漠が12桁目)。模糊から下の名前は、開いた『塵劫記』と名の付く本には見つからず、中国の算術書『算学啓蒙』の、日本で刷られた本に載っていました。そこでは沙から下が、1段ごとに1億分の1ずつ小さくなります。この道具は吉田光由の『塵劫記』に合わせて、埃までを扱います。

なぜ割が入ると1つずれるのですか?

この道具に言えるのは「2つの系がある」ことまでです。小数の名(分=10分の1から始まる系)は塵劫記の表に、割の言い方(割=10分の1から始まる系)は学習指導要領解説に、それぞれ載っていますが、どちらにも「なぜ」は書かれていません。下のリンクから、どちらの出典も自分の目で確かめられます。

分・厘・毛・糸…埃まで、1より小さい数を名前に直します。 同じ「九分九厘」でも、小数の名なら0.99、 割の言い方なら0.099 ── 割が入ると分から下が1つずれるので、両方の読みを並べて出します。

⭐ 割が入ると、分から下がぜんぶ1つずれます

1より小さい数の名前には、2つの系があります。小数の名は分(10分の1)から始まり、割の言い方(歩合)は割(10分の1)から始まります。 割が最初の場所に入るぶん、同じ字の名前がぜんぶ1つ小さい側にずれます。

割・分・厘の値(1割=0.1、1分=0.01、1厘=0.001)はパーセント計算が学習指導要領解説(第5学年)を根拠に確かめてあります。 「9割9分9厘が0.999」なのはこちらの系、「九分九厘=ほぼ確実」は小数の名の系 ──同じ字でも、割が付いているかどうかで別の数になります。

実際に開いて確かめました ── 塵劫記の「一よりうちのかずの名」

江戸時代の算術書『塵劫記』は、大きい数(無量大数までの数の単位)と同じ見開きで、 小さい数の表も載せています。京都大学の1冊の表題は「一よりうちのかずの名のこと」。国会図書館の2冊も含め、 3冊とも両・文・分・厘・毫・絲・忽・微・繊・沙・塵・埃の12枠でした。

  • 京都大学の1冊は、枠の隅の小書きで「文十…」「分十…」「厘十…」「毛十…」と、下の単位が10集まるとこの単位(×10の連鎖)を示しています。 分から下の並びは、今よく見る小数の名前の表とそのまま重なります。
  • 面白いのは、枠の大きな字は「毫」なのに、隣の枠の小書きは「毛」なこと ── 同じ単位の2つの書き方が、同じ紙面に同居しています。 糸も版面では「絲」です。この道具はどちらの字でも読めるようにしました。
  • 先頭の両と文が何を指すか(お金なのか、はかりの単位なのか)は、 開いた本には説明がありませんでした。だからこのページは 「両と文が先頭に立っている」という見たままだけを書き、 意味は決めつけません。

出どころ: 小数の表は、京都大学貴重資料デジタルアーカイブ RB00028548(新しいタブで開きます)(7コマ目)、国立国会図書館デジタルコレクション 104-180(4コマ目)(新しいタブで開きます)、同 166-133・元禄2年刊(5コマ目)(新しいタブで開きます)で閲覧できます。割・分・厘の値は小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編(新しいタブで開きます)から(詳しい引用はパーセント計算)。 すべて2026年8月21日に閲覧。

埃の下の名前が載っている本

開いた『塵劫記』と名の付く本のうち、上の節と同じ12枠(両・文から埃まで)の表を持つ9冊 (寛永4年序から嘉永4年刊まで)は、どれも埃で終わります。埃の下の名前は、 表が分から始まる『塵劫記』3冊と、中国の算術書『算学啓蒙』に載っています。

埃より下の名前と、載っている本
名前位載っている本
渺(びょう)小数点から11桁目『大全塵劫記』(天保3年序)・『筆算塵劫記』(明治8年)・『万福塵劫記』(明治25年)。『算学啓蒙』にも載っているが、そちらの位は萬萬(1億)ずつで数え方が別
漠小数点から12桁目同じ3冊(3冊とも漠で終わる)。『算学啓蒙』にも載っているが、位の数え方は渺と同じく別
糢糊・逡巡・須臾・瞬息・彈指・刹那・六德・虛・空・清・淨沙から下は、1段ごとに1億分の1(萬萬)『算学啓蒙』(元・朱世傑。日本で刷られた2種)

位(10の何乗か)は『筆算塵劫記』の書き方(「分…以下是ニ倣フ」)から求めています。

『算学啓蒙』では、虛・空・清・淨が4つの別々の名前で、1語の「虚空」「清浄」は本の中に 見つかりませんでした。模糊から下を10分の1ずつ並べた本も、開いた中には見つかりませんでした。 漠の読みは、本の振り仮名がかすれて1つに決められないので、字だけを載せています。

出どころ: 『大全塵劫記』国書データベース 100234449(6コマ目)(新しいタブで開きます)、『筆算塵劫記』巻之1 国立国会図書館デジタルコレクション 829379(5コマ目)(新しいタブで開きます)、『万福塵劫記』同 829376(3コマ目)(新しいタブで開きます)、『新編算学啓蒙』国書データベース 100234083(11コマ目)(新しいタブで開きます)、『算学啓蒙諺解大成』同 100248310(8コマ目)(新しいタブで開きます)。埃で終わる9冊は、上の節の出どころの3冊に加えて、国立国会図書館デジタルコレクション W385-N27(寛永4年序・6コマ目)(新しいタブで開きます)と、国書データベースの5冊(寛永11(新しいタブで開きます)・寛文3(新しいタブで開きます)・元文3(新しいタブで開きます)・文化3(新しいタブで開きます)・嘉永4(新しいタブで開きます))。すべて2026年9月27日に閲覧。