なぞなぞの作り方
言葉の前か後ろに字を足すと、べつの言葉になります。
- もとの言葉ここから始める
- かご
- したことずらした場所
- 前に「ほう」を足す → ほうかご
- できた問題人に出すのはこの文
- 「かご」の前に字を足すと、学校が終わったあとの時間になりました。なんでしょう?
答え:ほうかご(学校が終わったあとの時間)
ここに出るのは、こちらで用意した言葉です。自分の言葉でやりたいときは、下の読み物の手順を読んでください。
この窓がやるのは「ずらす」ところまでです。できた音が本当の言葉かどうかは、うちでは決めません。そこを考えるのが、なぞなぞを作るいちばん面白いところです。
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1問目 / 全5問
よくある質問
なぞなぞとクイズは、どこが違うのですか?
クイズは知っている事実を正しく答えるもの、なぞなぞは言葉のずらし方を見つけるものです。「日本でいちばん高い山は?→富士山」はクイズで、答えるのに知識が要ります。「パンはパンでも、白と黒で食べられないパンは?→パンダ」はなぞなぞで、要るのは知識ではなく「パンダの中にパンがかくれている」と気づく目です。だから、なぞなぞは知らない言葉では作れませんが、知っている言葉ならどれでも材料になります。
なぞなぞの作り方には、どんな型がありますか?
このページは6つに分けています。①字を足す(かご→ほうかご)②字を取る(いちご→ちご)③さかさに読む(たけやぶ→ぶやけた)④数を言葉に読みかえる(35→さんご)⑤同じ音・べつの意味(のり=海苔/糊)⑥すがた・はたらきで言う(使うたびに小さくなってカスが出るもの=消しゴム)。①〜④は音や字を機械的に動かすだけなので、当てはめて試すだけで作れます。⑤⑥は人が意味を考えるところなので、いちばん時間がかかりますが、どんな言葉にも使えます。
どの型から作るのがやさしいですか?
⑥のすがた・はたらきで言う型が、いちばん確実です。①〜⑤は「その言葉がたまたま別の言葉になる」必要があるので、なる言葉とならない言葉があります。⑥は答えの見た目や使い方を遠回しに言うだけなので、どんな言葉でも必ず1問作れます。ただし⑥だけは、作ったあとに誰かに出して確かめてください。作った人には当たり前の説明でも、聞いた人には別の答えがいくつも浮かぶことがあります。答えが1つに決まって、はじめてなぞなぞになります。
自分で打った言葉でも作れますか?
一部だけできます。字を取る・さかさに読む・数を言葉に読みかえる の3つは、入力した文字をそのまま動かすだけなので、自由に打って試せます。字を足す・同じ音・すがたで言う の3つは、選ぶ形にしてあります。理由は、できた音が本物の言葉かどうかを機械に判定させるには辞書が要るからです。このサイトは、表示の義務が付くライセンスの素材を使わない決まりなので、辞書を積みません。そのかわり自由に打てる窓では、この道具がするのは「ずらす」ところまでです ── 本物の言葉かどうかを考えるところが、なぞなぞ作りのいちばん面白いところです。
日本でいちばん古いなぞなぞは何ですか?
いちばん古い「なぞなぞ集」は『後奈良院御撰何曾(ごならいんぎょせんなぞ)』で、永正13年(1516年)正月の奥書があり、後奈良天皇が撰んだものです。172題が入っています(ブリタニカ国際大百科事典)。有名な1問は「母には二たびあひたれども父には一度もあはず。くちびる。」です。ただし「いちばん古い集」と「いちばん古い問題」は別です。この問題そのものは、62年古い叡山文庫本『聖徳太子伝』(1454・55年写)にもう出てきます。
「母には二度会うが父には一度も会わない=くちびる」は、なぜ答えが唇になるのですか?
読み方が3つあり、どれが正しいかは説が分かれています。【1】昔は「はは」を「ファファ」に近い音で言ったので、言うときに上下の唇が二度はたらいた(新村出 1928年・湯沢幸吉郎 1940年)。【2】母=歯々、父=乳と読み、上唇と下歯・下唇と上歯が合うので二度、自分の乳には唇が届かないので一度も合わない(本居内遠 1849年)。【3】原本には濁点が一つも打っていないので「婆(ばば)・爺(ぢぢ)」とも読める。「バ」は唇がぴったり合う音なので、この読みなら昔の発音が今と同じでも成り立つ(吉見孝夫 2013年)。吉見は「母・父で読む可能性は高いが、この1問だけでは昔の発音の証拠にならない」と結論しています。
むずかしいなぞなぞ・ひっかけの問題は、どう作るのですか?
むずかしさは、ずらす場所を増やすか、ずらす場所を隠すかで作ります。増やすほうは、1問の中で型を2つ使います。500年前の「十里の道を今朝かへる→にごり酒」は、④数の読みかえ(十里=二五里=にごり)と③さかさ読み(けさ→さけ)を重ねてあります。隠すほうは、問題文に本当は要らない言葉をまぜて、どこがタネか分からなくします。ただしやりすぎると、答えを聞いても納得できない問題になります。いい問題の目印は「答えを聞いた瞬間に、聞いた人がタネを言い当てられる」ことです。
できた問題が本当に成立しているか、どうやって確かめますか?
3つ見ます。【1】問題文の中に答えの言葉がそのまま入っていないか(入っていたら問題になりません)。【2】答えが1つに決まるか。ほかの答えも当てはまるなら、条件を1つ足します。【3】答えを言ったあとに、聞いた人が自分でタネを言えるか。言えなければ、ずらし方が遠すぎます。このページの道具が「もとの言葉/したこと/できた問題」の3段を必ず出すのは、この3段がそろって初めて確かめられるからです。
なぞなぞは、言葉のどこか1か所をずらしてできています。 ずらし方は6つしかありません。 そして6つとも、1516年(永正13年)の日本でいちばん古いなぞなぞ集に、同じ形の問題が入っています。 型と言葉をえらぶと、あなたのなぞなぞが1問できます。
なぞなぞは「言葉のどこか1か所」をずらしてできています
なぞなぞとクイズは別物です。クイズは「日本でいちばん高い山は?」のように、 知っている事実を正しく答えるもの。なぞなぞは事実を聞いていません。聞いているのは、言葉のほうです。「パンはパンでも、白と黒で食べられないパンは?」の 答えがパンダになるのは、パンダというイキモノを知っているからではなく、「パンダ」という音の中に「パン」がかくれているからです。
つまりなぞなぞは、答えの言葉を先に決めて、その言葉のどこか1か所をずらし、 ずらしたあとの姿から元へたどれるように文を書いたもの、と言いかえられます。 だから作る順番は、解く順番の逆になります。解く人は「問題文 → 答え」ですが、 作る人は「答え → ずらす場所 → 問題文」の3段で作ります。 上の道具が必ず3段を見せるのは、この3段が作り方そのものだからです。 ずらす場所は無限にあるように見えて、実は数えられます。次の節で6つに分けます。
ずらし方は6つ ── 足す・取る・さかさ・数・同じ音・すがた
問題を集めて、答えと問題文のあいだで何が起きているかだけを見ると、6通りにまとまります。
- ① 字を足す言葉をえらぶ形です
- 言葉の前か後ろに字を足すと、べつの言葉になります。
例:かご → ほうかご(学校が終わったあとの時間) - ② 字を取る自由に打てます
- 言葉から字を1つ取ると、べつの言葉になります。
例:いちご → ちご(赤ちゃんのこと(稚児)) - ③ さかさに読む自由に打てます
- うしろから読むと、べつの言葉になります。
例:たけやぶ → ぶやけた((音だけ。言葉にはなりません)) - ④ 数を言葉に読みかえる自由に打てます
- 数字を読み方に置きかえると、べつの言葉になります。
例:35 → さんご(海の中のかたいもの(珊瑚)) - ⑤ 同じ音・べつの意味言葉をえらぶ形です
- 同じ音なのに、意味が2つある言葉を使います。
例:のり → のり(紙をはるもの/おにぎりにまくもの) - ⑥ すがた・はたらきで言う言葉をえらぶ形です
- そのものの形やはたらきを、遠まわしに言います。
例:けしゴム → けしゴム(使うたびに小さくなって、カスが出る)
①②③④は音や字を機械的に動かすだけなので、辞書がなくても操作できます。⑤と⑥は 「その音に別の意味があるか」「その説明で当てられるか」を人が決めるところなので、 機械には渡せません。 上の道具が②③④にだけ自由入力の窓を出して、①⑤⑥は用意した49語から選ぶ形にしてあるのは、この線引きのためです。できた音が本物の言葉かどうかは、うちでは決めません。
6つの型は、ぜんぶ500年前の本に入っています
日本でいちばん古いなぞなぞ集は『後奈良院御撰何曾(ごならいんぎょせんなぞ)』。永正十三年(1516年)正月の奥書があり、後奈良天皇が撰んだものです (『日本古典文学大辞典』第2巻 p.650 を国立国会図書館 レファレンス協同データベース 事例 id=1000185889(新しいタブで開きます)が引いています)。ブリタニカ国際大百科事典(新しいタブで開きます)によれば172題。 そこに載っている問題を上の6つの型に当てはめると、6つとも埋まります。
- ① 字を足す1516年の同じ型
- 「雪は下よりとけて水の上に添ふ」→ 弓
「ゆき」の下の「き」がとけて「ゆ」、「みづ」の上の「み」を添えて「ゆみ」 - ② 字を取る1516年の同じ型
- 「いちごいはなし」→ ちご
「いちご」から「い」が無くなって「ちご」 - ③ さかさに読む1516年の同じ型
- 「十里の道を今朝かへる」→ にごり酒
「けさ」を反すと「さけ」 - ④ 数を言葉に読みかえる1516年の同じ型
- 「十里の道を今朝かへる」→ にごり酒
十里は二五里、「にご」と読む - ⑤ 同じ音・べつの意味1516年の同じ型
- 「前なは目あき うしろなは目くら」→ みみず
前から読むと「見」、うしろから読むと「見ず」 - ⑥ すがた・はたらきで言う1516年の同じ型
- 「母には二たびあひたれども父には一度もあはず」→ くちびる
「はは」と言うときは唇が二度はたらき、「ちち」では一度も合わない(※読み方は3つある。読み物を見てください)
例は本居内遠『後奈良院御撰何曽之解』(嘉永2年=1849年)の翻刻(新しいタブで開きます)で読みました。 500年たっても、ずらす場所は増えていません。 増えたのは、ずらす材料になる言葉のほうです。
いちばん有名な1問には、答えの解き方が3通りあります
レファレンス協同データベースが『群書類従 第28輯 雑部』p.644 から引く本文は、こうです。
母には二たびあひたれども父には一度もあはず。 くちびる。
この1問は、昔の日本語の発音を今に伝える証拠としてよく引かれます。いま「はは」と 言っても唇は合いませんが、当時は「ファファ」に近い発音で、上下の唇が二度はたらいた、 だから答えが唇になる、という読み方です。ところが、これは唯一の答えではありません。同じレファレンス協同データベースの事例に、江戸時代の別の解も並べて載っています。
- 新村出・湯沢幸吉郎1928年・1940年
- 当時「はは」は「ファファ」に近い発音で、上下の唇が二度はたらいた。「ちち」では一度も唇が合わない。
- 本居内遠1849年
- 「母」は歯々の意、「父」は乳の意。上唇と下歯、下唇と上歯が合うので二度。自分の乳には唇が届かないので一度も合わない。
- 吉見孝夫2013年
- 祖本の天理本には濁点が1つも無いので「はゝ/ちゝ」は「婆/爺」とも読める。その読みなら、当時のハ行が今と同じ発音でも問題は成立してしまう。
3つめの読みは、吉見孝夫「『後奈良院御撰何曽』「ははには……」の謎々はハ行頭子音の証拠たり得るか」 (『語学文学』52号 p.1-11・2013年)(新しいタブで開きます)が出したものです。この本の祖本である天理図書館蔵『なぞだて』を見ると、こう書いてあります。
はゝには二たひあひたれとも/ちゝには一ともあはす/くちひる
濁点が一つも付いていません。だから「はゝ/ちゝ」は 「婆(ばば)/爺(ぢぢ)」とも読める。「バ」の子音は唇がぴったり合う音なので、 この読み方なら、当時のハ行が今と同じ「ハ」だったとしても問題が成立してしまいます。 1問に3つの解き方が並んでいる ── なぞなぞは、答えが1つとはかぎりません。
写本によって、書いてある字そのものが違います。群書類従本は「二たび」、 本居内遠が立てた見出しは「母には二度あひたれども父には一度もあはず」で「二度」。群書類従本そのもの(影印)は開けていない。本文は2つの引用が一致することで確かめた。
「日本最古のなぞなぞ集」より、62年古いところに同じ問題があります
もっとおかしなことがあります。吉見孝夫(2013年)は、聖徳太子の伝記の写本を調べて、 同じ問題がもっと古い本に載っていることを示しました。叡山文庫本『聖徳太子伝』(享徳3・4年=1454・55年の写し)に、11歳の聖徳太子が童子の難問に答える場面に「母ニハ再ヒ合ヘトモ何トヤ父ニハ一度モ不合サ」として出てくるのです。 四天王寺本(室町後期の写し)には解き方まで書いてあります。
1454年は1516年より62年早い。つまり「日本でいちばん古いなぞなぞ集」に載っている問題が、そのなぞなぞ集より古いところに、 もう出ているわけです。さらに永正9年(1512年)の『体源鈔』にも同趣旨のものがあります。 ここで大事なのは、「最古の集」と「最古の問題」は別だということ。 集めた本がいちばん古いだけで、中身の一つひとつがそこで生まれたとはかぎりません。 なお、太子伝のほうは「母」「父」と漢字で書いてあるので「婆・爺」とは読めず、 吉見はこちらならハ行の発音の証拠になる、と書いています。
言葉遊びを「昔の証拠」にするときの、こわいところ
吉見孝夫の論文は、こう結ばれています ── 「母・父」で読み解かれるべき蓋然性は高い。 ただ「ハ」が今と同じ音だったと仮定しても問題は成立してしまうので、この1問だけでは、昔の発音の証拠にはならない。 そして、こんな例えを出しています。ドレミの歌の替え歌に「ファは墓場のファ」というのがある。 これを根拠に、後の世の人が「21世紀初めの日本語では『ハ』の子音は両唇摩擦音でもあり得た」 と推定したら、それはまちがいです。言葉遊びは面白さのために無理をするものだから、 そのまま史料にしてはいけない、という戒めです。
これは、このサイトが守っていることとぴったり重なります。吉見孝夫(2013)は「この謎々はハ行頭子音が[h]であったと仮定しても成立し得る」「音韻の変遷の証拠としての有効性を持たない」と書いている。面白い話ほど、出どころを開いて、書いてあるとおりに書く。「500年前のなぞなぞで昔の発音が分かる」は気持ちのいい話ですが、専門の人はそこに 待ったをかけています。だからこのページは、3つの解き方を全部並べて、 どれが誰の説かを書きました。
自分の言葉で作るときの手順
道具に入っている49語だけでは足りなくなったら、次の手順でやります。 ぜんぶ紙とえんぴつでできます。
- まず答えを先に決める。目に見える物のほうがやさしい (消しゴム・こま・かさ)。
- 答えの言葉を、ひらがなで書き出す。
- 6つの型を上から順に当ててみる ── 前や後ろに字を足せる? 1字取ると 別の言葉になる? さかさに読むと何かになる? 数字に読みかえられる? 同じ音で別の意味がある? どれも当たらなければ⑥すがた・はたらきで言う (これはどんな言葉にも必ず使えます)。
- 当たった型で、ずらす前と後ろを両方書く。ここが「タネ」です。
- タネから逆算して問題文を書く。問題文の中に答えの言葉をそのまま入れない(入れたら問題になりません)。
もう一つ、⑥だけは「その説明で答えが1つに決まるか」を、必ず誰かに出して 確かめてください。作った人には当たり前でも、聞いた人には10通りの答えが浮かぶことがあります。
このページが、問題を大量に並べない理由
「なぞなぞ 小学生」で上に出るページ(新しいタブで開きます)は、300問ほどを並べて「こたえを見る」を押させる作りです(2026-08-29 に1位のページを 開いて確かめました)。それはそれで役に立ちますが、読み終わったあとに手元に残るのは、 覚えた問題の数だけです。このサイトが持ち帰ってほしいのは、答えではなくなぜそうなるかのほうなので、ここは問題を配る場所にしません。
並べているのは型ごとに数問だけ、そのかわりどの問題にも「いま言葉のどこをずらしたか」を必ず付けてあります。 1問ぶんの答えより、6つの型のほうが持ち歩けます。型を覚えれば、家にある物の名前 ぜんぶがなぞなぞの材料になるからです。 学校の宿題の答えを出す道具でもありません。出しているのは作り方だけです。
出どころ: 原文と2つの解はレファレンス協同データベース 事例 id=1000185889(新しいタブで開きます)(提供館=栃木県立図書館・『群書類従 第28輯 雑部』p.644 を引く)、 濁点の無い祖本と3つめの読み・祖型の年代は吉見孝夫(2013)『語学文学』52号 p.1-11(新しいタブで開きます)(doi:10.32150/00010662(新しいタブで開きます))、172題という数と成立年はブリタニカ国際大百科事典(新しいタブで開きます)、型の実例は本居内遠『後奈良院御撰何曽之解』(嘉永2年=1849年)の翻刻(新しいタブで開きます)です。いま上に出ているページは笑いと遊びの研究所(新しいタブで開きます)といちごドリル(新しいタブで開きます)を、2026-08-29 に開いて読みました。 書名は資料によって「何曾」「何曽」の両方があり、読みも「ごならいんぎょせんなぞ」 「ごならいんごせんなぞ」の2通りがあります。 このページは「何曾」に統一しています。群書類従本の影印そのものには当たっていません ──NDLデジタルコレクションの該当資料(新しいタブで開きます)は図書館送信限定で、本文はレファレンス協同データベースと吉見論文の2つの引用が 一致することで確かめました。