調べて分かる道具箱

ガリレオの振り子 ── 長さで変わる1往復の時間

左は見本(1m・コルク・10度)、右はえらんだ振り子。

1往復の時間(計算)

2.01秒

見本(2.01秒)の1.00倍

糸の長さ
おもり
ふれはば(真下からの角度)

糸の長さは、糸をつるした所から、おもりの真ん中(重心)までをはかります。

計算の式: 国立天文台 暦計算室「振り子の等時性(暦Wiki)の式の画像」(2026-09-30 に取得した版)・米国国立標準技術研究所(NIST)「Digital Library of Mathematical Functions」§22.19 The Pendulum(2026-09-30 に見た文)(g=9.80665・国際度量衡局(BIPM)「Declaration 2 of the 3rd CGPM (1901)」(2026-09-30 に見た文))/糸の長さのはかり方: 文部科学省「【理科編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」第5学年 A(2)(2026-09-27 に取得した版)

自由研究で測った時間とくらべる

糸の長さ

cm

10往復の時間

秒

測った1往復

—秒

計算の1往復(ふれはばが小さいとき)

2.01秒

10往復の時間を10でわると、1往復の時間になります。ガリレオは、たくさんの往復を数えるほど正確になる、と書いています(『新科学対話』1638年)。

振り子の長さと1往復の時間の早見表

振り子の長さと1往復の時間(ふれはばが小さいとき)
問い答え
長さ25cmの振り子の1往復は何秒?1.00秒計算
長さ50cmの振り子の1往復は何秒?1.42秒計算
長さ1mの振り子の1往復は何秒?2.01秒計算
長さ2mの振り子の1往復は何秒?2.84秒計算
1往復が1秒になる振り子の長さは?24.8cm計算
1往復が2秒になる振り子の長さは?99.4cm計算

ふれはばが小さいときの計算です(g=9.80665)。

やってみる

1問目 / 全4問

おもりを重くすると、振り子の1往復の時間はどうなる?

振り子(ふりこ)は、5年生の理科で習います。学習指導要領には「振り子が1往復する時間は,おもりの重さなどによっては変わらないが,振り子の長さによって変わること」とあります。長さを4倍にすると、1往復の時間は2倍です(計算)。

ガリレオと振り子の年表 ── 等時性の発見から振り子の時計まで

  1. 1564年ガリレオ・ガリレイが生まれる
  2. 1583年ごろピサの大聖堂でランプのゆれを見た、と伝わる
  3. 1637年振り子を使う時計を、手紙で示す
  4. 1638年『新科学対話』に、振り子の決まりを書く
  5. 1654年弟子のヴィヴィアーニが、ランプの話を書く
  6. 1658年ホイヘンスが、振り子の時計を自分の発明だと言う

ガリレオ博物館(イタリア・フィレンツェ)の解説によると、同じ長さの振り子が同じ時間で往復する決まり(等時性)は、ガリレオ自身が見つけたものです。

1637年の手紙でガリレオは、木星の衛星を観測して経度(東西の位置)を知る方法を書き、そのためのとても正確な時計として、振り子を使う時計を示しました。

ガリレオ博物館の解説によると、振り子の時計は自分の発明だ、という1658年のホイヘンスの言い分に、弟子のヴィヴィアーニは強く反論しました。

経度と時刻のつながりは、世界時計・時差の読み物で読めます。

ピサの大聖堂のランプ ── 伝わる話と、そのいきさつ

ピサの大聖堂でランプのゆれを見て気づいた、という話は、弟子のヴィヴィアーニが1654年に書いた伝記にあります(初めて印刷されたのは1717年)。

ガリレオ博物館の解説によると、いま大聖堂にあるランプはガリレオがピサにいたころより後につるされたと分かり、この話はいったん伝説とされました。

その後、ガリレオのころの大聖堂には別のランプが下がっていたことが分かり、そのランプはいまピサの墓所(カンポサント)の礼拝堂にあります。

ヴィヴィアーニは、ガリレオがこの決まりを、医学で脈の速さを測るのに使えるようにした、とも書いています。

重くても軽くても1往復は同じ ── なまりの玉とコルクの玉

ガリレオは『新科学対話』(1638年)に、なまりの玉とコルクの玉を、同じ長さの細い糸でつるしてゆらした話を書いています。

なまりの玉はコルクの玉の100倍よりずっと重いのに、100往復しても1000往復しても、2つはそろって往復した、とあります。

5年生の理科では、「振り子の長さや振れ幅を一定にしておもりの重さを変えるなど,変える条件と変えない条件を制御しながら」実験します(学習指導要領の解説)。

同じように条件を変えて、水にとける量をくらべるなら、溶ける量のページへ。

長さを4倍にすると、1往復は2倍 ── 振り子の周期と長さ

ガリレオは、1往復の時間を2倍にしたいときは、糸を4倍の長さにする、と書いています(『新科学対話』1638年)。

糸と長いつなの往復の数をくらべて、つなの長さを144ブラッチョ(昔のイタリアの長さの単位)と出す計算も、同じ本にあります。

国立天文台の暦Wiki は、周期 T と長さ l の関係を T=2π√(l/g)(g はおよそ9.8)と書き、「振れ幅が大きくないときに近似的に成り立つ式です。」としています。

この関係は高校で学ぶ内容(発展)で、高校の「物理」の解説には「単振り子の長さと周期との関係を調べる実験」とあります。

大きく振ると、1往復はのびる ── 振り子の等時性の破れ(発展)

  • 10度+0.19%
  • 30度+1.7%
  • 60度+7.3%
  • 90度+18.0%

国立天文台の暦Wiki は「同じ長さの振り子がゆれる周期は、振り子の重さや(振れ幅が大きくなければ)振れ幅にはよらず一定になります。これを振り子の等時性といいます。」と書いています。

大きく振ったときの周期の式(米国国立標準技術研究所 NIST)で計算した、のびる割合を図にしました。

ガリレオは、なまりの玉を真下から25〜30度、コルクの玉を真下から2.5〜3度まで引いてゆらしても、同じ時間で往復すると書きました(本では、左右を合わせた50〜60度と5〜6度の弧・1638年)。

計算で、なまりを真下から30度、コルクを3度にしてくらべると、コルクが100往復するあいだに、なまりは約98.3往復です。

振り子の時計 ── 往復を数えて時間を知る

国立天文台の暦Wiki は「振り子の揺れた回数を数え、それに振り子の周期をかければ、その間の時間を測ることができます。」「これを利用した時計が振り子時計です。」と書いています。

日本にも、振り子の往復を数える時計、垂揺球儀(すいようきゅうぎ)がありました。

暦Wiki は「垂揺球儀は振り子時計の1種です」「寛政の改暦ごろから幕末まで使われていました。」と書いています。

日本全国の海岸を測量した伊能忠敬たちも、月食が始まった時刻と終わった時刻を、振り子の時計で測りました(野上道男 2020)。

文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」理科〔第5学年〕A(2)(2026-09-23 に取得した版)(新しいタブで開きます)

文部科学省「【理科編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」第5学年 A(2)(2026-09-27 に取得した版)(新しいタブで開きます)

文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編」「物理」(1)(ウ)(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)

国立天文台 暦計算室「振り子の等時性(暦Wiki)の式の画像」(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)

国立天文台 暦計算室「暦Wiki 振り子の等時性」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

国立天文台 暦計算室「暦Wiki 垂揺球儀」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

米国国立標準技術研究所(NIST)「Digital Library of Mathematical Functions」§22.19 The Pendulum(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

国際度量衡局(BIPM)「Declaration 2 of the 3rd CGPM (1901)」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

ガリレオ博物館(イタリア・フィレンツェ)「Pisa - Following the path of Galileo」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

ガリレオ博物館(イタリア・フィレンツェ)「Application of the pendulum to the clock」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

ガリレオ博物館(イタリア・フィレンツェ)「Racconto istorico della vita di Galileo di Viviani」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

ガリレオ・ガリレイ「新科学対話(1638年)」Le opere di Galileo Galilei 第8巻 128〜140ページ(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

ヴィヴィアーニ「ガリレオ伝(1654年)」Le opere di Galileo Galilei 第19巻 603ページ(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

野上道男(2020)「伊能忠敬による月食観測を用いた経度測定とその精度」地学雑誌 129巻2号 263〜274ページ(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

千葉県「伊能忠敬関係資料」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)

英語・イタリア語の資料は、こちらで訳した要旨です。

よくある質問

振り子の等時性とは何ですか

国立天文台の暦Wiki は「同じ長さの振り子がゆれる周期は、振り子の重さや(振れ幅が大きくなければ)振れ幅にはよらず一定になります。これを振り子の等時性といいます。」と書いています。ガリレオ博物館(イタリア・フィレンツェ)の解説は、同じ長さの振り子の等時性を、ガリレオ自身が見つけた決まりとしています。

振り子の周期と長さには、どんな関係がありますか

長さを4倍にすると、1往復の時間(周期)は2倍になります。ガリレオも『新科学対話』(1638年)に、1往復の時間を2倍にしたいときは糸を4倍の長さにする、と書いています。国立天文台の暦Wiki は T=2π√(l/g)(l は振り子の長さ、g はおよそ9.8)と書き、「振れ幅が大きくないときに近似的に成り立つ式です。」としています。1往復が1秒になる長さは、約24.8cmです(計算)。

振り子を大きく振ると、1往復の時間は変わりますか

大きく振るほど、のびます。国立天文台の暦Wiki は、周期が一定になるのは「振れ幅が大きくなければ」と書いています。大きく振ったときの周期の式(米国国立標準技術研究所 NIST)で計算すると、真下から30度で約1.7%、60度で約7.3%、90度で約18.0%のびます。5年生の実験について、学習指導要領の解説は「振れ幅が極端に大きくならないように適切な振れ幅で実験を行うようにする。」と書いています。

ガリレオは振り子で何を見つけたのですか

ガリレオ博物館の解説によると、同じ長さの振り子が同じ時間で往復する決まり(等時性)を見つけ、1637年の手紙で、それを使う時計を示しました。1638年の『新科学対話』には、なまりの玉とコルクの玉でくらべた話と、1往復の時間を2倍にするには糸を4倍の長さにすることを書いています。ピサの大聖堂のランプを見て気づいた、という話は、弟子のヴィヴィアーニが1654年に書いたものです。

振り子の自由研究で、気をつけることは何ですか

学習指導要領の解説には「振り子の長さは糸などをつるした位置からおもりの重心までであることに留意する。」とあります。おもりをふやすときは「おもりを下につなげてつるすと振り子の長さも変わってしまうことがある」ことにも気をつけます。ガリレオは、たくさんの往復を数えるほど正確になる、と書いています(1638年)。

振り子時計は、どういうしくみですか

国立天文台の暦Wiki は「振り子の揺れた回数を数え、それに振り子の周期をかければ、その間の時間を測ることができます。」「これを利用した時計が振り子時計です。」と書いています。日本の垂揺球儀(すいようきゅうぎ)について、暦Wiki は「垂揺球儀は振り子時計の1種です」「寛政の改暦ごろから幕末まで使われていました。」と書いています。

振り子は何年生で習いますか

小学5年生の理科です。学習指導要領は「振り子が1往復する時間は,おもりの重さなどによっては変わらないが,振り子の長さによって変わること」を挙げています。解説は、この学習について「第6学年『A(3) てこの規則性』の学習につながるものである」と書いています。高校の「物理」の解説には「単振り子の長さと周期との関係を調べる実験」とあります。