略画早指南 ── 円と四角でかく絵の骨組み
おにの ほねぐみ。まるを 7こ おきました(ぜんぶで 7こ)。
(ぜんぶで 7こ)
おなじ おおきさの まる 6こ と、くろい まる 1こ
もとの ほんの みだし「おにのわりかた」
おてほんを えらんで ボタンを おすと、ひとつずつ おけます。
ずは、もとの ほんを みて かきなおしました。おく じゅんばんは、この ページで きめました。
図のもと: 国文学研究資料館 国書データベース「略畫早指南 コマ25(東北大学附属図書館 狩野文庫)」おに・おかめ(2026-09-30 に取得した版)/国文学研究資料館 国書データベース「略畫早指南 コマ11(東北大学附属図書館 狩野文庫)」にわとり(2026-09-30 に取得した版)(置き場所は、原本の画像を目で読んだ推定)
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略画早指南は、葛飾北斎が1812年ごろに出した絵の手本です。おにの面の骨組みには同じ大きさの円が6つ、にわとり(おんどり)には大小の四角が6つ使われています。
略画早指南とは ── 定規とコンパスで骨組みをとる絵の手本
前編では、定規とぶんまわし(コンパス)で、ものの骨組みをとらえるかき方を図にしています。
もとの本の最初のほうに「此書ハひでうぎとぶんまハしをもって絵をかくの法にして」とあります(国書データベース コマ3)。
「ひでうぎ」は昔のかなづかいで今の樋定規のこと、「ぶんまハし」は今のコンパスのことです。
昔のかなづかいを今の読み方に直す決まりは、歴史的仮名遣いの読み方で1語ずつ調べられます。
葛飾北斎の年表 ── 略画早指南と北斎漫画
- 1760年生まれる
- 1810年「戴斗」と名のり、絵の手本づくりに力を入れる
- 1812年ごろ『略画早指南』前編
- 1814年ごろ後編(字を組み合わせてかく文字絵)
- 1814年『北斎漫画』の刊行が始まる
- 1831年から後《富嶽三十六景》
- 1849年亡くなる
もとの本の序の日付は「文化壬申春」。文化9年、1812年の春です(国書データベース コマ3)。
1814年ごろには後編が出て、『北斎漫画』の刊行も始まりました。
円の面、四角のにわとり、卵の形の小鳥 ── 手本の骨組み
- 「おにのわりかた」 同じ大きさの円6つと黒い円1つ。角に細長い線2本ずつ(コマ25)
- 「おかめのわりかた」 円6つ(おでこの円2つ・鼻・頬2つ・あご)(コマ25)
- 「四角にてとりをかくの法」 おんどりは、大小の四角6つを斜めに重ねる(コマ11)
- 「小とりハたまごなりの法」 卵の形と、長方形の尾(コマ13)
前編には、動物や鳥、魚、虫、人、面の骨組みの図が並びます。
小鳥は、卵の形と長方形の尾でかきます(見出し「小とりハたまごなりの法」・国書データベース コマ13)。
上の道具で置く順は、このページで決めた順です。
まると四角の骨組みをまねして、手書きキャンバスで自分でも絵をかいてみられます。
もとはオランダの画法 ── 紅毛雑話と略画早指南
- 1787年『紅毛雑話』がオランダの画法を伝える
- 1812年ごろ『略画早指南』前編
「前編では、定規とコンパスを用いて絵を描く方法を説明しています。このアイディアは、天明7年(1787)刊の森島中良(もりしまちゅうりょう)の『紅毛雑話(こうもうざつわ)』で紹介されたオランダの画法がもとになっていますが、北斎は『紅毛雑話』にはない様々なモチーフを描いています。」(すみだ北斎美術館)
紅毛雑話が出たのは1787年で、略画早指南より25年前です。
学校の算数とつながる ── まる・さんかく・しかくとコンパス
「色板などを組み合わせたり点を結んで身の回りにあるものの形を作ったりすることが考えられる。」(文部科学省の算数の解説・1年生)
「定規,コンパスなどを用いて,図形をかいたり確かめたりする活動を重視する」(文部科学省の学習指導要領・3年生)
上の道具の「まる」と「しかく」は、1年生の算数で見つける形の名前と同じです。
もとの本と出典
- もとの本: 国文学研究資料館 国書データベース『略畫早指南』(東北大学附属図書館 狩野文庫)(2026-09-30 に見た記録)(新しいタブで開きます)
- 明治の翻刻: 国立国会図書館デジタルコレクション『北斎漫画早指南』(2026-09-30 に見た記録)(新しいタブで開きます)
- 国文学研究資料館 国書データベース「略畫早指南 コマ2(東北大学附属図書館 狩野文庫)」序(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 国文学研究資料館 国書データベース「略畫早指南 コマ3(東北大学附属図書館 狩野文庫)」序の日付・附言(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 国文学研究資料館 国書データベース「略畫早指南 コマ11(東北大学附属図書館 狩野文庫)」にわとり(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 国文学研究資料館 国書データベース「略畫早指南 コマ13(東北大学附属図書館 狩野文庫)」小鳥(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 国文学研究資料館 国書データベース「略畫早指南 コマ25(東北大学附属図書館 狩野文庫)」おに・おかめ(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 国立国会図書館デジタルコレクション「北斎漫画早指南 コマ20」蛙の親子(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 国立国会図書館デジタルコレクション「北斎漫画早指南 コマ21」小鳥(2026-09-30 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 島根県立美術館「略画早指南 前編」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)
- 島根県立美術館「北斎の画歴」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)
- 島根県立美術館「戴斗期-絵手本への傾注-」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)
- すみだ北斎美術館「略画早指南」(2026-09-30 に見た文)(新しいタブで開きます)
- すみだ北斎美術館「北斎について」(2026-10-01 に見た文)(新しいタブで開きます)
- 磯崎康彦「葛飾北斎の絵手本 : 『己痴羣夢多字画尽』と『略画早指南』」『福島大学人間発達文化学類論集』29号、2019年6月、p.84〜96(新しいタブで開きます)
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」p.75〜76(第3学年 内容の取扱い(6))(2026-09-23 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 文部科学省「【算数編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」p.89(第1学年)(2026-09-27 に取得した版)(新しいタブで開きます)
- 国立国会図書館サーチの著者の標目「葛飾, 北斎, 1760-1849」(2026-09-30 に見た記録)
よくある質問
略画早指南とは、どんな本ですか
葛飾北斎の絵の手本で、読みは「りゃくがはやおしえ」です。島根県立美術館は「文化九年(1812)頃、中本、一冊」と書き、「題名のとおり、略画の描法を絵解きする絵手本です。北斎は樋定規とぶんまわし(コンパス)を用いて、あらゆるものの骨格の捉え方を図解してみせています。また後編では遊戯的な文字絵の描法も図解しています。」と説明しています。
略画早指南は、どこで見られますか
国文学研究資料館の国書データベースで、東北大学附属図書館 狩野文庫の『略畫早指南』の画像が見られます(前編・29コマ)。序の日付は「文化壬申春」で、文化9年(1812年)の春です。国立国会図書館デジタルコレクションの『北斎漫画早指南』は、奥付に「明治二十五年七月廿八日印刷 同年八月二日翻刻出版」とある明治の翻刻で、前編の蛙の親子と小鳥の図が入っています。このページの図は、もとの本の図を見てかき直したものです。
略画早指南の序は、今の言葉でどういう意味ですか
序を書いたのは鏡裏菴梅年です。序には「丈山尺樹、寸馬豆人などいへる画に盡く其法あり、されど起る処は方円を出ず、今、北斎老人、是を基として規矩の二つを以諸の画をなすの定位を教ふ」とあります。福島大学の論文集に載った論文は、ここを「こうした画法はあっても、結局はすべて四角と円からなりたつという。そこで北斎は、コンパスと定規により絵の定位を教えた。」と説明しています。
葛飾北斎は、何をした人ですか
すみだ北斎美術館は「浮世絵師の葛飾北斎(1760年から1849年まで)」と書いています。国立国会図書館の著者の記録は「葛飾, 北斎, 1760-1849」です。島根県立美術館は「文化七年(1810)から『戴斗』を号すようになった北斎は、次第に読本挿絵から離れ、『絵手本』の制作に傾注するようになります。」と書いています。1812年ごろに『略画早指南』を、1814年から『北斎漫画』を出し、1831年から後に《富嶽三十六景》をかきました。
ぶんまわしと樋定規は、何ですか
もとの本の最初のほうに「此書ハひでうぎとぶんまハしをもって絵をかくの法にして、是より入るときハ、絵のわり合をはやくしりて、かつかうつり合おのづから出来る也。」とあります。島根県立美術館は「樋定規とぶんまわし(コンパス)」と書き、「読み方:樋定規=ひじょうぎ」と添えています。ぶんまわしは、今のコンパスです。
葛飾北斎の一生は、どう分けられていますか
島根県立美術館は、北斎の「デビューした20歳から亡くなる90歳までの約70年の間」について「『春朗期』・『宗理期』・『葛飾北斎期』・『戴斗期』・『為一期』・『画狂老人卍期』の6期に大別されています。」と書き、「※年齢は全て数え年(生まれ年から1歳とする)です」と添えています。略画早指南は、「戴斗期〈51歳~60歳頃〉-絵手本への傾注-」の本です。