色の組み合わせを作る
補色(ほしょく)── 色相をちょうど180度回した色です。輪のまん向かいにあたります。「反対の色」として昔から紹介されてきた組み合わせです。
作った色
動かしたのは色相だけです。鮮やかさ(彩度90%)と明るさ(明度48%)は、どの色も元のままにしてあります。
| 番号と角度 | 見本 | HEX | HSL | 乗せられる文字 |
|---|---|---|---|---|
| 1番・もとの色色相 21度 | 1番 | #e8590c | 21, 90%, 48% | 黒5.9:1 |
| 2番・180度回す色相 201度 | 2番 | #0c9be8 | 201, 90%, 48% | 黒6.9:1 |
重ねたときに読めるか
作った色のすべての組み合わせについて、 片方を背景・片方を文字にしたときのコントラスト比を出します。 全1組のうち、本文の文字として読めるのは0組、 大きな文字なら読めるものを入れても0組です。この組は、色どうしを重ねて文章を置く使い方には向きません。
| どれとどれ | 重ねた見え方 | 比 | 本文(4.5:1) | 大きな文字(3:1) |
|---|---|---|---|---|
| 1番と2番#e8590c と #0c9be8 | 読めますか | 1.17:1 | 読めない | 読めない |
光として重ねると
もとの色#e8590cと、180度回した#0c9be8を光として重ねると、#f4f4f4になります。 赤・緑・青の値が3つともぴったりそろうので、 色みの無い色(白か灰色)にしかなりません。
これが、その2つの光を重ねた色です。
たねあかしをすると、180度回した色は、赤・緑・青のそれぞれを「いちばん大きい値 + いちばん小さい値」(この色では244)から引いた値になっています。だから足すと必ず同じ数にそろいます。
これは光の話です。同じ2色を絵の具で混ぜると、明るくなるどころか濁って暗くなります。 絵の具の混ざり方は粒が光を吸う 量で決まり、足し算では出せないので、このページでは光の足し算の色だけを見せています。
よくある質問
補色(ほしょく)とは何ですか?
色あいの輪の上で、ちょうど向かい側にある色のことです。この道具は色相を180度回して作っています。ただし向かい側がどの色になるかは、どの輪の上で数えるかで変わります。画面の光の輪では赤の向かいは水色(シアン)、絵の具でよく使われる輪では赤の向かいは緑です。同じ言葉で別の色を指すので、どちらの話かをはっきりさせる必要があります。
「この配色は調和します」と書いていないのはなぜですか?
角度の決まりは計算の決まりであって、美しさの証明ではないからです。180度回した色が必ずよく見えることを確かめる方法はありません。この道具が言えるのは、色相を何度回したかと、2色を重ねたときのコントラスト比がいくつかの2つだけです。そこまでを正直に出して、似合うかどうかは見た人が決める、という作りにしています。
絵の具では赤の反対は緑だと習いました。水色が出るのはなぜですか?
混ぜ方が違う2つの並べ方があるからです。この道具が回しているのは画面の光の並べ方で、赤と水色を光として重ねると白になります。絵の具は光を吸って色を作るため並べ方が変わり、赤の向かいに緑を置く輪がよく使われます。どちらかが間違いなのではなく、話している輪が違います。
灰色を入れると、どの角度でも同じ色になります。壊れていますか?
そうなるのが正しい動きです。灰色は赤・緑・青の値が全部同じで、色あいを持っていません。回す先が無いので、何度回しても同じ灰色のままです。CSS の仕様も、彩度が0のときの色相は無力であり、0度でも180度でもどの角度でも同じ結果になると書いています。彩度が低い色ほど、回したときの差は小さくなります。
コントラスト比が低い組み合わせは使ってはいけないのですか?
文字と背景にするのは避けてください。面と面が隣り合うだけなら、比が低くても困らないことがあります。この表が答えているのは、その2色を文字と背景にしたときに読めるかどうかです。色を並べて使うこと自体を禁じる数字ではありません。確かめずに決めないための道具だと思ってください。
色相環はだれが考えたのですか?
色を輪にして並べたのはニュートンで、1704年の本『光学』に円の図が載っています。円周を7つに分けた幅は、音階の音の間隔の比で決めたと本人が書いています。虹の色は赤から紫まで一列に並んでいて輪にはなっていないので、両はしをつないで輪にしたのは人の工夫です。
元になる1色から、色相を決まった角度だけ回した色を作ります。 できた色どうしを重ねたときに文字が読めるかも、全部の組で計算します。
この道具が書くのは「何度回したか」だけです
補色・三色・類似色といった名前は、色相を何度回すかを決めているだけです。 補色なら180度、三色なら120度ずつ、類似色なら30度ずつ。それ以上のことは、この決まりからは出てきません。
だからこのページは「この組み合わせは調和します」とは書きません。 180度という数は計算の決まりであって、 そう回した色がきれいに見えることの証明ではないからです。 昔からこの角度が使われてきたのは本当ですが、「よく使われてきた」と「必ずきれいになる」は別のことです。
この道具が確かに言えることは2つだけです。色相を何度回したかと、その2色を重ねたら文字が読めるか。 どちらも計算で出せて、あとから同じ答えが出せます。似合うかどうかは、 出てきた色を見てあなたが決めてください。
色相・彩度・明度のうち、動かすのは色相だけです
色相(しきそう)は「赤っぽい・青っぽい」という色あいのことで、0度から360度の輪の上の位置で表します。彩度(さいど)は鮮やかさ、明度(めいど)は明るさです。 この道具は色相だけを回して、彩度と明度は1も動かしません。出てくるのは 「同じ鮮やかさ・同じ明るさで、色あいだけが違う色」です。
輪なので、はしがありません。350度の色を30度回すと、380度ではなく20度に戻ってきます。時計の針が11時から2時間進むと1時になるのと同じです。
絵の具の補色と、光の補色は別の色です
ここがこのページでいちばん大事なところです。同じ「反対の色」という言葉が、2つの違うものを指しています。
画面の色は光を足して作ります。赤・緑・青の光を強くしていくと、 重なったところは明るくなり、3つとも最大にすると白になります。この混ぜ方を加法混色(かほうこんしょく・足し算の混ぜ方)といいます。
絵の具やインクは逆です。紙に置いた絵の具は当たった光の一部を吸いこみ、残った光がはね返って目に届きます。 絵の具を混ぜると吸いこむ色が増えるので、 混ぜるほど暗くなり、たくさん混ぜると黒っぽくなります。こちらは減法混色(げんぽうこんしょく・引き算の混ぜ方)です。
混ぜ方が逆なので、「向かい側」に置く色も変わります。 この道具が使っている光の輪では、赤の向かいは水色(シアン)で、 この2つを光として重ねると白になります。 いっぽう絵の具でよく使われる輪では、赤の向かいは緑です。 こちらを混ぜても白にはならず、濁った暗い色に近づきます。
しかも絵の具の輪は1つに決まっていません。 何色を基本の色とするかで並べ方が変わり、どれが正しいという決まりはありません。 だから「赤の反対の色」を1つに決めることもできません。 どの輪の上の話なのかを言わずに「反対の色」と言うと、相手と違う色を思い浮かべたまま話が進みます。
この道具は、絵の具を混ぜた色を出しません。絵の具は粒が光を吸ったり散らしたりするので、 混ぜた結果は足し算でも掛け算でも決まらないからです。 出せない色を、それらしい数字で出すことはしません。
色相環は、虹の両はしをつないで作った輪です
色を輪に並べたのはニュートンで、1704年の本『光学』(Opticks)に円の図が載っています。 面白いのは目盛りの決め方です。円周を7つに分けた幅を、 ニュートンは音階の音の間隔の比で決めたと書いています。 つまり色の輪の目盛りは、音楽から借りてきたものでした。
もう1つ。虹は輪ではありません。赤から紫まで一列に並んでいて、赤と紫は反対のはしにあります。 それを丸めて両はしをつないだのが色相環です。 つないだところにできる赤紫は虹の中には無い色で、 ニュートン自身も「これはプリズムの色ではない」と書いています。
だから色相環は、自然にそう並んでいるものではなく人が作った並べ方です。 並べ方が変われば向かい側の色も変わる ── 絵の具の補色と光の補色が食い違うのは、これが理由です。
きれいでも、重ねると読めない組み合わせがあります
補色どうしは輪の上でいちばん遠い色ですが、遠いことと読みやすいことは別です。 コントラスト比は色あいの遠さではなく明るさの差を測っているからです。
赤(#ff0000)と水色(#00ffff)は補色ですが、 重ねると3.19対1しかありません。 本文の文字に必要な4.5対1に届かないので、この2色で文章を書くと読みにくくなります。
ところが同じ補色でも、青(#0000ff)と黄(#ffff00)なら8.00対1あって、本文にも十分です。「補色だから見やすい」も「補色だから見にくい」も成り立ちません。その2色で測るしかない、というのが答えです。
コントラスト比がどう計算されているか(明るさをどう数えるか)は、カラーコードの変換のページに書いてあります。この道具はその計算を呼んで、作った色の全部の組み合わせに当てています。
彩度が0の色は、回しても同じ色のままです
白・黒・灰色は、赤・緑・青の値が全部同じ色です。色あいを持っていないので、色相を回しても向かう先がありません。 だから何度回しても同じ色が出てきます。
これは決まりとしてそう定められています。CSS の仕様は、彩度が0%のときの色相を「無力(powerless)」と呼び、0度でも180度でも、どの角度でも同じ結果になると書いています。 彩度を少しずつ下げていくと回したときの差も小さくなり、0がその行き着く先です。
入れた色は、どこにも送っていません。角度を回す計算もコントラスト比の計算も、 すべてあなたの端末の中で終わります。送る先を持たない造りです。
出どころ: 色相の目盛り(赤が0度、緑が120度、青が240度)と、 彩度が0のとき色相が無力になることはCSS Color Module Level 3(新しいタブで開きます)と CSS Color Module Level 4 から。コントラスト比の式はWCAG 2.2(新しいタブで開きます)の定義そのままです。ニュートンの円と、音階の比で目盛りを決めたこと、 赤紫がプリズムの色ではないことは、『光学』第1書 第2部 命題VI 問題II の原文(新しいタブで開きます)で確かめました。